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6. エジプトを行く


今回の1人旅はエジプト。夜10時、カイロ国際空港に到着。タクシーに乗り、町の中心部へと向かう。



ネットで予約した宿を探し、裏通りへと進んでいく。さまよいながら、宿の入り口にたどりつくと、



そこには全てを拒絶する、暗黒風味の看板がぶらさがっていた。しかし、もう夜も遅い。とりあえず受付に行くと、



エジプトマグロが解凍中だった。結局、知らない人を起こすことから、この旅が始まった。



翌日はまず、カイロの町を歩く。アットホームな雰囲気の大通りを進んで行くと、



かわいらしい「赤ちゃん服の専門店」があった。リラックスして近づいてみると、



放送できない演出が採用されており、言葉にできないサムシングが、この胸を駆け抜けていった。



そしてまずは、スフィンクスを目指しタクシーで移動する。世界遺産との対面に、期待が高まる瞬間だ。



しかし、実際には本物よりも、



こっちの方がスフィンクスだった。空前のスケールで、全てを包み込んでいる。



気を取り直しつつ進んで行くと、股間素手でいじる、みやげ売りのペニーの姿が。



5分後、その手で観光客と分かり合うペニー。こうして、ウイルスは世界中に広がっていく。



ところでエジプトは、食文化もきわだっていた。これは「不明動物のかあさん煮」。心も体も温まる一品だ。



翌朝は、イスラム教徒が集まる市場へと出向く。



古い町だけあり、引退した老人たちは鋭い眼光で威厳を保っていた。一族の長老に間違いないその風貌に、緊張が高まる。



しかしその長老は、なぜか木を2本持っていた。何となくついて行くと、



焼きイモ屋に木材を運ぶ、現役のバイトであることがわかった。忘れたい思い出が、キロ単位で増加していく。



市場を抜けると、別格の存在感を誇るエジプト中央銀行が。やはりそこは、町中のお金が集まるだけあり、



正面玄関の警備体制はもちろん、



裏口にさえも、重厚なセキュリティが導入されていた。



国営機関ならではの、張り詰めた緊張感。全てを犠牲にしても、守りたいものがここにある。



翌日は、別の遺跡へと出向く。とりあえず近づいてみたものの、



両方からリリースされている大量の鼻水や、



完全にエグられている人の過去の方が気になって、早めに帰る俺がいた。



そして近くの公園へ行くと、木陰でビーフパイが休んでいた。数分後、何となく視線を戻すと、



明らかに巨大化しているビーフパイの姿が。成長期に入り、充実の時を迎えている。



その公園の中には、意味深な巨大モニュメントがあった。近寄りがたいその雰囲気に、言葉を失う。



しかもその中心部には、謎の円周があった。宇宙的な雰囲気に、風が止まるのを感じた。 しかし、本当に風が止まっていたため、



受付のオチローが大幅ダウン。熱を最大限に吸収する黒の上下で、痛恨のオウンゴールを達成していた。



とはいえ、連日40度は暑い。車さえも吐血するこの状況に耐えかね、タクシーを拾ったものの、



その車内には、充実の毛布ワールドが広がっていた。



そのタクシーを満足気にあやつる逆エジプト。乗ったら最後、地獄への片道切符に払い戻しはない。



そんな昼間の汗を洗い流すため、宿へ戻る前、薬局に石鹸を買いに行くことに。するとキャンペーン中なのか、



ティッシュもセットで付いていた。国全体がロスタイムに入っている、不安マックスの展開が続く。そして、レジに進むと店員は、



ひょうきんな顔の練習中だった。ヒマ全開のその境地に、入り込むスキはない。



翌日お昼は、町のレストランへ。どっちみちメニューは読めないので、適当に注文する。すると出てきた料理は、



ランチなのに、スープが出てきてコース風。数百円とは思えない、なかなかの本格派だ。そして待望のメインディッシュは、



「ハトの悲しみ焼き・ギロチン風」だった。夜空に輝く満天のトラウマを胸に、そっと瞳を閉じる俺がいた。



店を出て歩いていると、息子に何かを語りかける、熱心な父親の姿が。ただし、息子が話を聞いていないのが気になった。



しかし、その父親は女性が通るたび、



人力ズームでガン見する、人間望遠鏡であることが判明。息子のリアクションが正解という、悲しいリアルがそこにあった。



さらに町中をいく。一瞬で迷子になるものの、暑くて思考回路がストップしているため、問題を先送りにするクセがついてくる。



すると交差点で、新聞を運ぶ中年運輸に出会った。ベテランならではの、見事な安定ぶりを見せている。



しかしその直後、突然のラッシュに一気にコーナーへ追い込まれる中年運輸。 我慢の時間帯が続く。



そうして町はずれまでくると、個人経営のサンドイッチ屋に遭遇。しかしその店頭では、



ケンタッキーの写真がナチュラルに流用されていた。でもこれを受け入れるほど、エジプト人も甘くはない。一応、店内をチェックすると、



オールOKで受け入れるフライド中年の姿が。天使の光に包まれながら、その空腹をゆっくりと満たしていた。



ケンタッキーを出ると、急に渋滞が発生していた。なぜかわからなかったものの、そのまま進んでいくと、



中途半端な位置で急停車している車があった。これが渋滞の原因となっていたため、急いで近づいてみると、



眠れる森の無職が安定期に入っていた。もう迷わない。周りの声を気にせず、ただ自分だけを追い求めている。



最終日は近くの山へ行き、このフェイント大国を眺めてみた。特に何の感想もない。



そしてタクシーに乗り、帰りの空港へ。砂ぼこり舞うハイウェイに、日本のカツカレーが幻のように浮かんでは消えていく。



すでに過剰な日焼けと疲労により、コクのあるストレスが体中を支配していた。そして成田への15時間のフライトが決定打となり、この旅が静かに終了した。



エジプト。そこはまさに時代を超えたヒマさが漂う、灼熱の無責任国家だった。これからも遺跡の印税でつなぎながら「とりあえず寝る」というコンセプトをブラさず、進んでいって欲しいと思う。