自分のことは二の次なひとたち
2011年2月 4日(金) 8:18:08
そうだ、Ust出演の夜の「その後の話」を書かなくては。
生中継終了後、みんなで居酒屋に行った。番組内で「いまから来られる人は申し込んでください」と呼びかけたので、飛び入りの方も2人来た。全部で15人くらいだったかな。恵比寿の「さいき」が会場だった(鳩山さんとの会食をツイッター中継した店でもある)。
ボクと斉藤くんが圧倒的に年長で、あとは20代中心。学生も数人いた。斉藤くんが社長をやっているループスって「ソーシャルメディアで何かやろうと燃えている若者たちを何重にも巻き込んでいる組織」なので、やる気と熱気さえあれば学生でもなんでも受け入れているようである(社員、という意味ではなく、巻き込んでいる、という意味で)
って別に飲み会の様子を書くわけではない。印象的な言葉があったのでそれだけ紹介したい。
飲み会終了後、一足早く店の外に出たボクは、そこでループスの岡村直人くんと話していた。
店の二階の窓には、後片付けしている仲間たちの影が映っている。それをふたりで見上げながら、岡村くんがポツリとこう言った。「この人たち、自分のことは二の次なんですよねー」
あー。そういえばそうだなぁ…。
なんだかとても腹落ちする言葉だった。
ソーシャルメディアを通して知り合った若者たちがボクにはたくさんいる。
みんな口をそろえて「社会の役に立ちたい」と言う。「少しでもよくしたい」と真剣に訴える。「世の中をいい方に変えたい」と熱く語る。「何が出来るか探している最中なんです」ともどかしい目をする。
インターネット興隆期の若者たちは「成功したいんです」というのがひと言めだった。
どうやって儲けるか、どうやってリッチになるか、どうやってのし上がるか、どうやって株式上場まで辿り着くか。そんな夢を熱く語ってくれた。もちろんその後に「人の役に立ちたい」とかが続くのだが、ゴールは「成功」であった。
でも、本当に、最近の若者からそれを聞かない。
みんな「役に立ちたい」「世の中を変えたい」が一番目に来る。ソーシャルメディアという急激に伸びているプラットフォームを目の前に、「儲けてやろう」「リッチになってやろう」というギラギラをまったく感じさせない。そりゃ成功もしたいだろうけど、成功だけでは本末転倒なのだろう。「大儲けしたとしても、もしかして儲け分を寄付しちゃうんじゃないか?」というような人までいる。
たまたまボクに近寄ってくる人だけの傾向なのかもしれない。もしくは単にソーシャルメディアの「共感」という熱にうなされているだけという可能性もある。でも、確実にそういう波は起こっている。
「♪お金なんかはちょっとでいいのだー!」って奥田民生が叫んだけど、そういう感じ。
お金にならないボランティアやちょっとした協力案件を話すと文字通り「人が群がってくる」。「やりましょうよ!」と。なんだこの感じ。なんだこの性善説でポジティブで自分が二の次な感じ。
ふと気がつくと、ボク自身、ソーシャルメディアが出てきてから、鳩山前首相とのプロジェクトといい、「ハーブ&ドロシー」上映プロジェクトといい、募金プロジェクトといい、こどもワークショップといい、儲けに関係ないボランティア的プロジェクトが増え続けている(他にも2案件抱えている)。なんだろう、この流れ。
ちょっと不思議に思いつつ、なんだかとってもしっくりきている自分がいる。
インターネット興隆期は「自分」が大事。「成功」が目的。
ソーシャルメディア興隆期は「他人」が大事。「貢献」が目的。
この若者のあり方の違いは社会を大きく変えると思う。ボクとか斉藤はそれを支えて、旧世代とつないで、風穴を開ける手伝いをする。
「何を甘いことを」と呆れる人もいるかもだけど、もちろん全員がそう考えることはない。みんなが信じることをいろんな方向からすればいい。それがどこかできっとつながる。そんな確信があるなぁ。
その夜の「さいき」は梁山泊のようであった。
さて、ボクは、ボクの信じることを、ボクのやり方でしていこう。