Facebookとは、友人同士が相互にメッセージを書き込み合う掲示板や写真共有などを楽しむことができる世界最大のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)である。ユーザー数は全世界で5億を超え、北米、欧州、南米など世界の様々な地域で最も人気のあるSNSといえる。実際、調査会社の米コムスコアによると、2010年8月には米国におけるFacebookユーザーの滞在時間がGoogleやYahoo!を抜いて1位となった。

 人気の秘密は、利用できるアプリケーションの豊富さにある。2010年12月時点で、約55万のアプリが提供されている。現在ではソーシャルグラフ(プロファイルや人脈などの人間関係)を利用し、友人同士でゲームを楽しむ「ソーシャルゲーム」が人気のアプリになっている。例えば米ジンガが提供する「FarmVille」は、友人と協力しながら農作物の栽培・収穫などを行い、農園を拡大していくゲームだ。

 FacebookはSNSとしてはいち早く2007年にAPI(Application Programming Interface)を公開。外部の開発者がFacebook上でアプリを提供できるようになった。2008年にはFacebook内のソーシャルグラフをアプリに利用できるAPI「Facebook Connect」を公開した。YouTubeなどの動画系や、Last.fmをはじめとした音楽系のメジャーなWebサービスがFacebookに対応した。

 さらにFacebookが自社サイトを越え、その世界を広げようとしているのが、約5億人分のソーシャルグラフを外部のWebサイトから利用できるようにする仕組み「Open Graph」である。具体例が「Like」ボタン(日本語では「いいね!」ボタン)だ。LikeボタンはFacebook以外のWebサイトの記事や商品の横などにも表示できる。自分が特に気に入ったニュース記事や商品があった場合、Likeボタンをクリックすると、その情報が当該のサイトやユーザーのFacebook上に即座に反映される。例えばAさんがLikeボタンを押した場合、Facebook上で友人関係にあるBさんがそのサイトを見た際に、Aさんのアイコン(顔写真など)が見つかる。つまりたまたま訪れたサイトで友人のAさんがおススメした情報がわかるわけだ。

 Facebookは最近、携帯電話向けに軽量化したモバイルサイト「0.facebook.com」を始めた。独自の課金機能「Facebook Credits」や、チャットやメールなどの各種メッセージを一元的に利用できる「Messages」といった新機能も発表した。日本での今後の動きも注目される。2010年2月に日本事業所を開設。日本の携帯電話市場をターゲットにした新サービスの開発に動き出している。