滑川海彦氏
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高橋信夫氏
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小林弘人氏
小林弘人氏
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 「Facebookの全世界の利用者数は6億人を超えた。このままいけばその“人口”はインドを追い抜く可能性もある」---日経BP社は2011年1月25日、書籍「フェイスブック 若き天才の野望」(関連記事)の出版を記念したトークセッションを開催した。登壇したのは翻訳者である滑川海彦氏(写真1)と高橋信夫氏(写真2)で、解説を寄せた小林弘人氏(写真3)が司会を務めた。滑川氏と高橋氏は、ITニュースブログ「TechCrunch Japan」の翻訳を務める。小林氏は「ワイアード日本語版」などを立ち上げたことなどで知られる。各氏ともFacebookをはじめシリコンバレーの事情に詳しい。

 まず小林氏は、公開中の映画「ソーシャル・ネットワーク」と書籍「フェイスブック」を比較。「映画はFacebookの黎明期を描いたもの。ただ、登場間もない企業の時価総額がどんどん大きくなっていくといったことは描かれているが、Facebookが何なのか、何を目指しているのかがよく分からない。親友とのトラブルにも焦点が当たっている」と小林氏は見る。そして「映画に出てくるザッカーバーグ氏と実像の違いを、どう感じたか」と、Facebookそのものや創設者でありCEOのマーク・ザッカーバーグ氏の描かれ方の違いについて聞いた。

 この問いに対して滑川氏は、「映画はとても細かいところまでよく描いているという印象。ただ、実際のザッカーバーグ氏は映画と大きく違う」と指摘した。「映画では根暗なように描かれているが、実はスポーツマン。本人は高校時代にフェンシング部のキャプテンでスター選手。勉強もコンピュータも優秀な、スターだった」と解説した。高橋氏も、「ザッカーバーグ氏本人の話では、映画の内容で正しいのは服だけだとのことだ」との逸話を披露した。

 滑川氏は、書籍「フェイスブック」の著者であるデビッド・カークパトリック氏のコメントを紹介した。著者によれば、「映画の内容は45%が真実」だという。「微妙なところだが、逆に言えば全体としては6割の真実が抜けているということ。私自身、映画はとても面白い作品に仕上がっていると思うが、Facebookそのもののことは出てこない。著者としては、Facebookのことを知るには、この本を読んでもらえばいいということではないか」。

 では、Facebookの何がすごいのか。小林氏がこう水を向けると、滑川氏はFacebookの利用者の数字を紹介した。世界で5億人が使うSNSと語られることの多いFacebookだが、「Facebookの準・公式サイトとも言える『Socialbakers』によれば、全世界の利用者数は6億人を超えた。『中国、インド、Facebook』と言われることがある。Facebook利用者を国の人口に例えた表現だが、このままいけば、Facebookの“人口”はインドを追い抜く可能性もある」。