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NEJM誌から
4価HPVワクチンは男性の外陰部病変も予防する

 ヒトパピローマウイルスHPV)の感染とこれによりに引き起こされる疾患は男性にも広く見られる。米H. Lee Moffitt Cancer Center and Research InstituteのAnna R. Giuliano氏らは、16歳から26歳の男性を対象に4価のHPVワクチン(Merck社の「ガーダシル」)の安全性と有効性を評価する無作為化試験を行い、外陰部病変の発生予防におけるワクチンの有効率は非常に高いことを明らかにした。論文は、NEJM誌2011年2月3日号に掲載された。

 著者らは、男性を対象に、外陰部病変の発生予防と、肛門性器のHPV感染の予防におけるワクチンの効果を調べるため、二重盲検のフェーズ3試験を実施した。04年9月3日から08年8月29日まで、18カ国の71施設で16歳から26歳の健康な男性4065人を登録。これらの男性を無作為に、ワクチン(2032人)または偽薬(2033人)に割り付けて計3回接種(1日目、2カ月後、6カ月後)した。診察は7カ月、12カ月、18カ月、24カ月、30カ月、36カ月の時点で行った。

 主要評価指標は、HPV 6型、11型、16型、18型に関連する外陰部の病変(尖圭コンジローマ、ペニス/肛門/会陰のグレード1、2、3の上皮内腫瘍、ペニス/肛門/会陰の癌)の発生率に設定された。per-protocol分析は、1日目に血清陰性で、1日目と7カ月の時点でPCR検査によりこれら4タイプのHPVに感染していなかったことが確認できており、3回のワクチン接種を完了していた2805人(ワクチン群1397人、偽薬群1408人)を対象に行った。intention-to-treat分析は、ベースラインの感染の有無にかかわらず、ワクチンまたは偽薬の接種を1回以上受け、追跡期間中に受診していた人を分析対象とした。

 追跡期間の中央値は初回接種から2.9年だった。

 3回目の接種後、ワクチン群の97.4%に4型のHPVに対する血清転換が認められた。

 Intention-to-treat分析では、外陰部病変発生はワクチン群36人、偽薬群89人で、ワクチンの有効率は60.2%(95%信頼区間40.8%-73.8%)だった。HPV 6型、11型、16型、18型に関連する病変に限定すると、有効率は65.5%(45.8%-78.6%)になった。

 HPV 6型と11型に起因する尖圭コンジローマの予防に対する有効率は67.2%(47.3%-80.3%)。上皮内新生腫瘍の発生率には差はなく、癌発生はどちらのグループにも認められなかった。

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