May 15, 2011

国際的たらい回し。


ジンバブエの首都ハラレに滞在中にたまたま取った電話で、見ず知らずの現地の人から「日本から中古車を輸入しようとして代金を振り込んだが、相手が音信不通になった。」との相談を受ける。こっちが日本人だというのをどっかで知って電話をかけてきたんだと思う。

「はぁ、またですか。」

いや、電話してきた人にとっては初めてかもしれないけど、当方にとっては「またか。」です。アフリカにいると、そんなに珍しいことじゃないんです。ときどき聞く話。

「笑い事じゃないんだ!」

そりゃそうでしょう。被害額はたいてい数千~数万ドル。インターネットで日本の中古車輸出業者のページを見て車種を選び、メールと電話&ファックスで契約をしたというのがほとんど。 それで代金を振り込んだら相手が行方不明になる。

ためしにその中古車取扱業者のページを見てみると、見かけはちゃんとしたページには見えるんだけど、肝心の会社概要がなかったり、簡潔過ぎたりするんです。載っている電話番号の市外局番から「たぶん神奈川の業者でしょうね。」と分かる程度だったり。で、取り扱ってる中古車は確かにちょっと(かなり)お買い得な価格設定になってる。 さらに、英語はちゃんとしてるのに日本語が妙にぎこちなかったりで、これってロシア人とかパキスタン人とかがやってる中古車ブローカーじゃないの?って臭いがプンプンする。

昔、この手の問題の場合はまずどう対応すべきなのか警視庁に電話で聞いてみたことがあります。その警察の人曰く、まず現地の警察に被害届を出し、現地の警察が国際警察機構を通じて日本の警察に捜査依頼を出す、というのが標準的な手続きですと。なるほど。

しかしねえ、ジンバブエのような途上国の場合、どこまで現地の警察に事務処理能力があるかが多いに疑問です。しかも、被害者がジンバブエ国籍ではなくて、コンゴ国籍とかナイジェリア国籍だったりするし、ジンバブエは内陸国なので、中古車の配送先が南アフリカのダーバン港までとか、モザンビークのベイラ港までの契約になってる場合も多い。そこまでは自分で引き取りに行くつもりだったんでしょうけど、そしたら「現地」ってどこよ?って感じです。

要は、ジンバブエに住んでいるコンゴ人が、日本にいるパキスタン人の中古車ブローカーから中古車買ってモザンビークまで車を輸入しようとして詐欺に遭った。

あーもう、くらくらするね。この一文で被害回復の望みが薄いことは明々白々、残念ながら。国際的にたらい回しにされるのは目に見えてる。

「まずはジンバブエの警察に相談したらいいんじゃないですか?」

私もそう答えたしね。

*   *   *

日本中古車輸出業協同組合という業界団体があって、そこに加盟している業者だったらまだいい。音信不通になったらその団体が確認してくれるみたいだし、被害の回収などもやってくれるらしい。場合によっては代理弁済もやるらしい。でも、相談してくる人が代金を振り込んだ業者はまず、この団体には加盟してないです。

といって、数千ドル~数万ドルの被害だと、日本に渡航して被害を回復するのも費用がかかりすぎて意味がない。ジンバブエから日本までだと、渡航・滞在費が最低でも数千ドルになっちゃうからね。

この手の詐欺で泣き寝入りしている人、少なくないんじゃないかと思いますよ。 まあ、自己責任といえばそうなんですが。

1 comment:

Ken said...

犯行グループのひとつが逮捕されました!

「ネットにウソの車販売広告、世界中から苦情」yomiuri online
http://bit.ly/kGRzQI