スマートフォン版で表示

現在、お知らせはありません。

Progress -女性活用の先駆社- Progress -女性活用の先駆社-

男女雇用機会均等法が施行されて約30年。さまざまな制度の整備などによって、女性活用が推進されてはきたが、本当の意味での活用はまだまだ進んでいない。そして今あらためてその必要性が叫ばれている。そのような中、先駆者的に女性活用を進めてきた企業がある。それらの企業はこれまで、どのような課題にぶつかり、それをどのように乗り越えてきたのか。また今後、どう前進していくのか。先駆“社”をレポートする。

このエントリーをはてなブックマークに追加

掲載日:2013年10月14日

Progress story #02
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニー

(写真左)

大場 美里氏 人事総務本部 人材開発グループ ディレクター

2013年3月に中途入社し、現職に就任。それまで約20年にわたりグローバルIT企業で人事業務全般にかかわり、アメリカなどで海外勤務も経験。現職では人材開発およびダイバーシティ&インクルージョンの推進に携わっている。

(写真右)

齋藤 広幸氏 コッドマン&CMF事業部長

2013年に法人統合したシンセス株式会社の出身。脊椎外科領域の手術治療用インプラントを扱うデピューシンセス・スパイン事業部の事業部長を経て、2013年6月より、脳神経外科用医療機器などを扱うコッドマン&CMF事業部で事業部長を務める。

ダイバーシティ推進の“第2章”へ
さらに進化するために、今、変わらなければならない

独自のユニークな制度を先駆的に整備

女性活用DATA

チャイルドケア支援金 :

使途不問の育児支援金を年間30万円、最大7年間支給

在宅勤務制度 :

育児・介護に従事している場合、年間20日まで

就業時間短縮制度 :

小学3年生まで(1日あたり最大2時間)

女性管理職比率 :

13%

保存年休制度 :

失効する年休を年5日、最大40日まで保存、育児・介護・自身の傷病時などで長期に休む場合に使用可

その他 :

ボランティア休暇や、介護をサポートする仕組みなど

世界60カ国に275以上のグループ企業を持つジョンソン・エンド・ジョンソン。ダイバーシティ推進は、まず米国本社では早い段階から取り組みが始まり、その流れを受けて2003年から日本法人でも取り組みが本格化した。「医療品の輸入・製造販売を手掛けるわれわれメディカルカンパニーは、子育てしながらでも働きやすい環境をつくるための制度の整備から着手しました」と大場氏は説明する。

その一つが「チャイルドケア支援金」だ。1カ月以上の育児休業を取得した社員を対象に、補助金として年間30万円が最大7年間支給される制度で、育児に関することであれば使途不問である点が特色。ベビーシッター費用や遠方の親に育児協力を求める際の交通費など、多岐にわたる用途に活用されている。ほかにも、育児や介護を理由に年間20日まで在宅勤務が認められる「フレキシビリティSOHO Day制度」など、現場のニーズに応えたユニークな制度が次々と整備された。

2005年には「Women's Leadership Initiative(WLI)」の活動がスタート。「Shared Responsibility」(会社と社員の双方で責任を分かち合う)という考えの下結成された有志のグループだ。女性のネットワーキングの機会であるとともに、女性の活躍推進をテーマにしたイベントやセミナーを定期開催するなど、さまざまな活動を継続展開している。こうした全社を挙げての制度整備や取り組み推進を続け、今では女性の事業部長や部門長も珍しくない。働き方の多様化も定着し始め、同社独自のユニークな制度として 先駆的な成果を上げようとしている。

ダイバーシティ推進の意義を再確認

ダイバーシティ活動を進めてきたこの10年を振り返ると「試行錯誤や停滞の時期もあった」と大場氏は明かす。「最初の数年で新たな制度が次々とでき、積極的な採用や昇格とも合わせて機運が一気に高まったのですが、盛り上がりが一度落ち着いた時に“ダイバーシティ疲れ”とも呼べるような停滞期がありました。当の女性社員からも『性別で扱いを変えてほしくない』『支援はいらない』とう反発も出るように。制度や数値目標ばかりに目が向きがちで、肝心な、ダイバーシティ推進の意義が見えづらくなっていたのかも知れません」。

そうした状況も踏まえ、現在はダイバーシティを推進する意義について理解を深めるためにインクルージョン(※)の啓発にも重きを置く。「企業が成長していくためには、多様な考えの存在を『認める』だけでは不十分で、多彩なアイディアや価値観を実際に取り入れることで初めて企業の競争力に変えることができる」ということだ。「多様な人や考え方を受け入れて活かすことで時代より早く進化する会社だけが、今後も成長を続ける。 女性活用の推進はまさにその一つ」と考えている。「弊社のダイバーシティ活動は、今まさに“第2ウェーブ”と言えます。 今後は、女性が管理職を目指すにあたり、適切な話し方や行動などの『立ち居振る舞い』を学ぶセミナーなど、 女性の能力を引き出すことを目的としたより実践的な学びの機会も増やしていきたいと考えています」と大場氏は力を込める。

また、現状の課題の一つとして、事業部ごとにワーク・ライフ・バランスの進み具合にばらつきがあることが挙げられる。その改善に向けて、より多様な働き方を可能にする「業務軽減措置」や「勤務地限定」といった新たな制度の導入も検討している。「女性社員や、女性営業を部下に持つマネジャーのヒアリングなどを通して社員のニーズを把握し、多様な社員が思う存分ポテンシャルを発揮出来るような職場づくりの実現に引き続き力を入れていきます」と大場氏は今後の展開を語る。

インクルージョンとは、包括、一体性の意。ダイバーシティ&インクルージョンとは、多様な人材の雇用・育成を目指すダイバーシティをさらに推し進め、組織・制度づくりへの参加を促していく試みを指す。

「率先して変わっていく力」を企業としての強みに

同社がダイバーシティ推進を重要な経営戦略と位置づける背景には、医療業界ならではの事情もある。齋藤氏はこう語る。「ドクターや患者によりよい医療や製品を届けるために、時間や曜日に関係なくサービスに努めるというのがこれまでの業界の気質でした。そうしたスタイルに基づいて各社がしのぎを削った結果、業界としてビジネスが飽和状態に達しているのが現状です。この状況を打破し、弊社が競争力を高めていくためには、既存の価値観にとらわれず、限られた時間内で効果的な結果を出す方向へと働き方をシフトするしかない。その観点でも、ダイバーシティ推進は大きな意味を持つと確信しています」。

一方で現場の目線から、齋藤氏は取り組みを進める難しさも認める。「制度を作るにも当然ながら経費がかかります。業界の古い体質を変えていくのも決して容易ではない。しかし、そこで立ち止まるのではなく、会社が一丸となって課題を克服しようとする強い姿勢を持つことが、成長へのエンジンになるはずです。率先して医療業界に新たな価値観を示し、女性にとっても男性にとっても働きやすい環境を実現していきたい。ひいてはそれが、業界全体の発展にもつながると考えています」。

大場氏も人事の立場から、業界のあり方を変えていく必要性を語る。「育児や介護を理由に、医療業界から優秀な人が去ってしまうのは惜しい。弊社が先頭に立って、ライフもワークも犠牲にしない新しい働き方を提示していきたいですね。会社にとっても、医療業界にとっても、新たなステージへと進化を遂げる大きなチャンスだと感じています」。ジョンソン・エンド・ジョンソンのダイバーシティの”第2章”が始まった。

COMPANY DATA

企業名
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニー
設立
1983年8月
事業内容
医療機器、医療関連製品の輸入・製造販売
従業員
1517名(2012年12月現在)
このエントリーをはてなブックマークに追加

女性活用を進めてきた企業について知る

Progress - 女性活用の先駆社 - indexへ

会員登録する(無料)エージェントサービス・スカウト登録もこちら

会員登録済みの方はこちら