並み以下の右翼手になっている|イチローに何が起こっているか?2

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守備でも今年のイチローはショッキングなシーンがいくつかあった。失策、そしてフェンス際に飛んだ大飛球を目測を誤ってタイムリーにしたり。名外野手の名をほしいままにしたイチローの守備に異変は見えていないか。

イチローの守備成績。RFは、金本の外野守備の稿で紹介したが、守備範囲の広さを示す値。本来の公式であるPO(刺殺、フライ)+AS(補殺、送球でアウトにする)+ER(エラー)をFULL(出場イニング数)で割って9をかけたRFと、PO+AS+ERを出場試合数で割った簡易型のRF/Gを併記。レギュラーのイチローはこの数値の差が少ない。

これまでイチローは右翼手としてはトップクラスの2.2前後のRFを記録してきた。しかし、今季はこれが1.59にまで下がっている。リーグの右翼手の中で最下位である。守備範囲が狭くなり、フライを取るなどボールに触る機会が激減しているのだ。ASが3つあるのは肩は大丈夫と言うことかもしれないが。

次に、シアトルマリナーズ=SEAのすべての守備機会(TC= PO+AS+ER)に占めるイチローの守備機会の割合を見る。

外野手で守備機会が最も多いのは中堅手だ。イチローは中堅を守っていた2007年にはSEAの守備機会の7.2%に参加していた。右翼を守るとその数値は若干減って6%前後となる。これが標準なのだろう。

しかし、今季はわずかに4%台。これは左翼手並みの数字だ。例年のこの時期に比べ40回ほど守備機会が少ない。今年のSEAの外野は守備範囲の広いソーンダースが定着し、グティエレスも復帰。ランガーハンズもいる。しかし、これまでのイチローは、こうした外野陣のさらに上を行く存在だった。今季は、彼らにボールを取られることも多くなっているのだ。

守備での影の薄さは何に起因するのか、よくわからない。しかし非常に気がかりである。