プレート境界が2度ずれ巨大化 東日本大震災
東大准教授解明「従来モデル逸脱」
東京大の井出哲・准教授は19日、3月11日の東日本大震災がマグニチュード(M)9.0と巨大になった一因を解明したことを明らかにした。プレート(岩板)の境界面で深さ方向に2段階にわたり地震が起こったことで大規模なプレートのずれに至った。境界面が強く固着した部分にひずみがたまる従来のモデルでは説明できない現象で、研究の見直しが必要になるとしている。
研究成果は米科学誌サイエンス(電子版)に20日掲載される。
米国や欧州など海外で観測された地震波データをもとに解析。まずプレート境界沿いの深さ20キロ付近で最初のずれが発生。深さ40キロ付近まで伝わった。これに誘発される形で約60秒後に深さ7キロの浅い場所で第2のずれが発生。約30秒かかって深さ40キロまで達した。この第2のずれの発生によって、地震の規模が大きくなった。
第2のずれの際、プレートが本来蓄えられていたひずみのエネルギーと比べ、それ以上に大きくずれる「動的過剰すべり」と呼ばれる現象が起きていたことが分かった。この現象は理論的には予想されていたが、実際に観測されたのは今回が初めて。岩手県沿岸などを襲った津波が巨大化した原因となった。
これまでの地震研究では、プレート境界面の中で強くくっついている固着域と呼ばれる部分にたまったひずみが解放されることで地震が起きると考えられている。だが今回のように2段階で大きな地震に至った現象は、「従来のモデルでは説明できない」(井出准教授)としており、地震発生の新たなモデルが必要になるとしている。