ソニー会長が情報漏洩問題で会見〜実害無し・安全性を強調

昨日米から復帰を開始したPSN。欧州で復帰後ログイン殺到で一旦落とすトラブルはありましたが、全体的にはスムーズに復帰を果たしました。

ソニーのPSN、復帰後に一時アクセス不能なるも無事再開--米国や欧州などで - CNET Japan

一方で、日本ではいまだ復帰せず。これは、単純にユーザーの多い欧米から優先的に行われた、ということも一員にあるでしょうが、それ以外にも日本では個人情報保護法関連で、経産省の許可が得られなかったというところもあるようです。

「PlayStation Network」、国内で再開されていない理由とは - CNET Japan

一応5/13にソニーは報告していたようですが、説明不十分ということでOKをもらえなかったようですね。Twitterなどでは経産省PSN復活の足を引っ張っているといった形で非難する声も聞かれましたが、情報漏洩を食らった被害者からすれば、多少待たされても十分な補償が示されるまで待っても良いという考えもあります。この辺は、人によって優先度が違うというところのようで、上記CNET記事が出てからは意見は割れていましたね。ユッケとかでも、「基準に沿わない生肉は、罰則設けて流通させるな」という意見もあれば「でもユッケは好きだし、なくなるのも困る」という意見もあったりと、理屈と感情のせめぎあいがみられたところでした。PSNの件も、個人情報漏洩は怖いものの、オンライン対戦やDLCアーカイブなどは欲しいという感情との微妙なバランスがあったように思います。

ソニー会長が米で会見〜被害者の立場・セキュリティ強化を強調

そんな中で、これまで米ブログでのみコメントを出していたソニー会長ストリンガー氏が、米国で会見を催したようです。

asahi.com(朝日新聞社):ソニー会長「安全性を確保した」 情報流出後初の会見 - ビジネス・経済
ソニーのストリンガー会長:ハッカー攻撃は「ちょっとした問題」 - Bloomberg.co.jp

内容はなかなか豪快なものになっていますね。

「ネットワークはより安全になった。」
「1週間で対応したのは他社の例と比べても早い方だ」
「現時点では、クレジットカードの不正利用は一件も報告されていない」
「利用者は情報流出よりも、サービスが止まったことに怒った。サービス再開を熱狂的に受け入れてくれている」

とにかく、ソニーは攻撃の被害者である、セキュリティは向上した、実害はない、といった形で、ソニーに過失は無いという主張ですね。米とかでは特に下手に謝罪すると非を認めたことになって賠償とかがすごくなるというところもあるので、よくある強気な姿勢ではあるのですが、日本の大企業でもこういった発言を聞くとは、という感じです。

何よりインパクトがあるのは「ユーザーは情報流出よりサービス停止を怒った」とのコメントですね。いや、たしかにゲーム好きにとってはオンライン対戦機能が使えないことなどの不満が大きいのは確かですが、それは情報漏洩との大小比較をするような問題でしょうか?「どっちも不満」というのが実際のところだと思うのですが。さらに、日本ではまだPSNは復帰しておらず、そのサービス停止への不満も解消されていません。日本企業なのに、日本のユーザーの不満が解消されていない状態で話すセリフでしょうか?

この会見自体、米での開催で、日本の新聞記者などを招いているような形式。そしてあたかもネットワークが全復旧して全世界から歓迎されているかのような発言。日本の一PSNユーザーとしては、この人には日本の様子がどう映っているのかと、疑念を持ちたくもなります。

日本のユーザーも納得できる誠意ある態度・対応に期待

日本では、海外企業が日本国内で不祥事を起こしたとき、最初に謝罪することができず突っぱねて、結果的に国民から猛バッシングに会うケースが度々あります。

ソニーの場合は、実際にクラッキングの被害者の立場でもありますし、また日本企業として日本の多くの消費者から愛されてきた存在。上記の外国企業と同列に比較することはできません。とはいえ、今回の件では情報漏洩についての発表も欧米先行、補償についても欧米では情報漏洩の際の保険の提供やソフトの無料提供がアナウンスされているものの、日本では依然具体的な情報が出てきていません。そして経産省の認可が降りない件があるとはいえ、まだPSNは復帰していません。その中でのこうした会長の発言は、決してプラス要素にはならないように感じます。

日本を代表し、多くの日本人に愛されているソニー。グローバル企業ではありますが、せめて日本発の企業として様々な点で日本の消費者に誠意のある態度、および対応を見せていただきたいものです。