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「転勤したい街」とアンケートすると、関東在住者は札幌、関西は福岡が必ず上位にくる。わざわざ転勤願いを書いてこの地に来た大橋さんは、リタイア後も福岡に
居着いてしまった。そこまで人を引きつける街の魅力を探った。
「福岡市は世界で14番目に住みたい都市」と、2010年7月、イギリスの『モノクル』誌がレポートした。流行に敏感なインテリ層に支持される同誌の「世界ベストシティ25」ランキングは、1位がドイツのミュンヘン、東京が4位のほか日本では福岡が14位にランクインし、しかも前回より2ランク上がっている。国際的知名度もさほどではないはずの福岡が、なぜ世界レベルで注目されるのだろうか。
同編集部に聞くと、「今回の調査で新たに取り入れた選択基準は、(1)開発されすぎた大都市より、よき近隣関係のある都市、(2)緑のスペース、(3)新規ビジネス参入の可能性などでした。ミュンヘンが1位になった主な理由は文化プロジェクトへの積極投資、緑の多さ、交通機関のグッドアクセスを高く評価したからです」
という。福岡については、「緑化に900万ユーロ(約9億7200万円)の行政予算、福岡空港の滑走路増設計画、CO2削減のため市は電気自動車の無料レンタルを試行」などの点が他にない優れた点と評価。空港から博多まで地下鉄で2駅、5分。日本人サラリーマンの転勤希望が多いことでも知られる福岡は、外国人の目にクリーンでアクティブ、確実に魅力的な街なのだ。元リクルート九州支社長の大橋文吾氏も東京から家族4人で転勤し、福岡に住まいを構えてしまったひとりだ。
転勤7年で退職、マンションを購入
「大阪で10年、東京で10年勤務しましたが、ずいぶん福岡への希望を出しました。出張で訪れるたびに、本当にいい街だなと思ったんです。料理もうまい、都会なのにきれいな海も山も近い、人間がおもしろい。それにわたしは南海時代からホークスの熱烈ファンで、球団社長になりたかったくらいですから(笑)。