TV、ラジオ、新聞、雑誌で連日連夜繰り返し報じられる震災の爪痕。地震から3週間たってなお惨劇の全容は掴めず、原発の状況に関していえば日を追うごとに悪化しているとさえ言える。
いったい日本はこの先、どうなってしまうのか。
そして本誌の元にもクルマ界にまつわる震災情報が次々と入ってくるようになってきた。新車は売れない、工場や研究所は休止状態、部品メーカーが休業。テストコース破損、エネルギー政策見直し・・・。いったいクルマ界はどうなってしまうのか。
暗いニュースばかり追いかけてもしかたないがしかし、よりよく復興するためには現実をしっかり見つめる必要がある。
本企画ではいま、クルマ界で何が起こっているのか。そして考え得るかぎりで、これからどうなるかを、分野ごとにひとつひとつ見ていきたい。立ち上がり再び歩き出すためには、イバラの道とわかっていても前を見つめる必要があるのだ!!
大きい爪痕を残した大震災。あれやこれは大丈夫!?震災で危ぶまれるものたち
先の見えない不安が消費を滞らせる震災と原発で大不況突入
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おかねばならないのが、これから日本列島を覆うであろう大不況である。
古い話で恐縮だが、1923年9月1日、関東大震災が起こったわけだが(マグニチュード7・9、死者・行方不明者合わせて10万3733人)、そのあとにも「昭和金融恐慌」が起こり、震災手形は不良債権化して日本は長く苦しい大不況に突入することになった。
今回の東日本大震災でもこのような不況は巻き起こるのか?経済ジャーナリストの福田俊之氏によると、「とても残念ですが、間違いないでしょう」と語る。
「この3週間で日本には、空前の国難が3つも襲ってきました。地震、津波、原発事故です。どれひとつとっても大変なことなのに、3つが重なってかけ算になって日本経済を襲っている」と分析する。
「経済にかぎって話せば、地震と津波の被害は【直すしかない】ということで一致しています。方向性は見えている。やるべきことも分かっている。けれど原発はいけません。これからどこまで悪くなるのかが見えない。こういう状況が一番経済に悪影響を及ぼすんです。これからどれだけ悪くなるかわからなければ、買い物なんてしてられないでしょう?」
東電や政府が情報をオープンにせず、対応が後手後手に回っているように見えることも、経済にとっては大きなマイナス要員だという。
「省電力というのはハッキリと経済状態と比例します。電気を削れば削るほど経済は停滞する。いつ停電するかわからない、買い物に行っても必要なものが入荷されているかどうかわからない。これじゃあ消費は冷え込むに決まってます」