取り調べで暴言、大阪府警警部補に有罪 地裁判決
任意の取り調べで男性会社員に「殴るぞ」などと暴言を浴びせたとして脅迫罪に問われた大阪府警東署警部補、高橋和也被告(35)の判決公判が28日、大阪地裁であった。岩倉広修裁判長は「警察捜査の信頼を大きく損ねた」などとして、罰金20万円の求刑を上回る罰金30万円を言い渡した。
判決理由で岩倉裁判長は「犯人と決めつけて繰り返し怒鳴り、自分が求めるような供述を迫った悪質な犯行」と指摘。「人生むちゃくちゃにしたる」などの暴言を浴びせた取り調べの手法を「虚偽の自白を招き、冤罪(えんざい)を生み出す温床になる。到底許されない」と厳しく批判した。
量刑については「刑事責任は軽視できず、懲役刑の選択も考えられる」とした上で、社会的制裁を受けていることなどを理由に「罰金刑の金額を、法定の上限とするのが相当」と結論付けた。
判決は府警の組織としての責任にも言及し、「違法な取り調べを監視する体制を構築できておらず、事件を誘発する一因となった」と述べた。
言い渡し終了後、岩倉裁判長は「警察官を志望した当時の動機と、被害者に取った態度の差を認識すべきだ。捜査の在り方を含めた抜本的な体制作りに真摯に取り組んでほしい」と説諭。高橋被告は泣きながら小さく「はい」とうなずいた。
判決によると、高橋被告は昨年9月3日、遺失物横領容疑で会社員、岡本和真被告(35)=窃盗罪などで起訴=を取り調べた際「殴るぞおまえ。手出さへんと思ったら大間違いやぞ」と脅した。
大島忠郁・大阪地検次席検事の話 検察官の主張がおおむね認められた判決だ。
南野伸一・大阪府警監察室長の話 (判決の)結果を厳粛に受け止め、職員の指導教養を徹底し、適正捜査に努めたい。
暴言を受けた岡本被告の弁護団の話 検察の罰金求刑に従った判決で軽きに失している。取り調べの可視化の必要性が改めて明らかになった。