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原発賠償4兆円、政府が試算 電気料金値上げ前提

2011年5月3日3時1分

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 東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う損害賠償をめぐり、政府内の試算が明らかになった。賠償総額を4兆円、東電の負担を約2兆円と想定して、2020年度までの東電の業績を試算。賠償は最終的に電力各社が10年にわたって負担する内容だ。東電管内は電気料金が約16%上がる前提になっている。

 賠償の枠組みの案は複数あるが、最も東電の経営環境を厳しくみた案が有力。現在、関係閣僚らが最終調整を続けている。

 賠償は、今年度から1兆円ずつ、4年で完了すると仮定している。賠償額の上限設定については、枝野幸男官房長官が否定しているが、めどとして賠償額を確定させないと東電の11年3月期決算をつくることができないため、上限を設けたとみられる。4兆円を超える場合には、言及していない。

 試算によると、賠償は東電が担う。東電は自己資金で足りない分について、電力各社で新たにつくる「機構」から支援を受ける。機構には国も公的資金を拠出。公的資金は、東電を含む電力各社が毎年4千億円を10年間にわたって返済する。

 内訳は、東電は毎年1千億円を特別負担金として拠出。残る3千億円は原発を保有する電力9社(東電を含む)が負担する。各社は電力量に応じて負担し、全国の電力量の約3分の1を占める東電は、約1千億円の負担となる。これらの賠償資金を確保するため、東電管内は電気料金の大幅な値上げを想定している。

 東電以外の8社は、約2千億円を負担。これは、約2%の料金値上げ分に相当する。4兆円の賠償額の負担割合は、東電が約2兆円、東電以外の8社が計約2兆円になる見込みだ。

 機構は東電が発行する優先株1.6兆円分を引き受ける。賠償負担による東電の信用低下や東電債の格下げを避けるためだ。

 また、福島第一原発1〜6号機の廃炉費用を1.5兆円、火力発電の燃料費増を年約1兆円とみている。リストラでは、来年度までに年1500億円、計3千億円の不動産や株式売却を進める。

 東電の決算は、11年3月期は約8千億円の純損失(赤字)に陥るが、赤字は4年間で解消。14年度以降に社債発行を再開し、18年度には配当再開も目指すとしている。(神谷毅、中野和郎)

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