今は東電の救済策になってもいい | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

沢山書かなければならないことがある。
今、まさに日本が大きな曲がり角に差し掛かっており、この段階での政策決定が日本の将来を大きく左右すると思われるからどうしても書いておきたくなる。

その中で原発被害者に対する補償スキームの組み立てのことがある。
政府が公表した賠償スキームは東電の救済策に外ならないという指摘が相次いでいる。
東電の資産売却や役員の責任追及、さらには株主の責任問題等を曖昧にしたまま国が東電の被害者に対する賠償責任を事実上引き受けることになるのはおかしい、とか、最終的に電気料金に転嫁して東電の責任をうやむやにしてしまうのは許せない、東電を解体、国営化すべきだ、などという意見もちらほら見受けられるようになった。

政府が発表した原発被害者補償スキームが結果的に当面の東電救済策になってもいいではないか、というのが私の意見である。

いずれ抜本的な改革、手術が必要なことは明らかだが、今は手術を受け容れるだけの体力がない。
如何なる名医もこういう時は手術を行うのを躊躇する。
まずは、体力の回復を待つ。

東京電力福島第一原子力発電所の原発事故は死傷者の数こそ少ないが、コントロールの可能性から言えば世界の歴史上最も困難な部類に属している。
火が燃え盛っている時は注水に全力を尽くすべきで、注水能力が劣っているからといってそこで消防ポンプの修理を始めることはしない。
さらに強力な消防車を投入するか、延焼の拡大を防ぐことに全力を尽くす。

被害者の方々への補償を急ぐ、被災者の救済を優先するというのは当然である。
今の段階で電気の安定供給を阻害するようなことはしてはならない。
今の段階で東京電力の破綻処理を喧しく議論するのは差し控えるのが賢明である。
私は、そう思っている。

識者の皆さんの指摘は、そのとおりだと思う。
しかし、今は現在の事態を解決するために総力を結集すべきである。
たとえ追い銭になっても東京電力の資金繰りがショートして突然経営破綻を宣言せざるを得なくなるような愚かなことは回避すべきである。

現時点での東京電力への支援は、被害者の救済と国民の生活を守ることに資することになる。
私はそう確信している。

株主総会を間近に控えた今の時期に東京電力の破綻を声高に議論しようとする識者の皆さんや政治家の皆さんにあえて異論を申し述べる。