第93回埼玉大会シード校分析(5)浦和実、大宮西

■Bシード 浦和実

 昨夏初戦敗退の悔しさをバネに、秋春連続で県大会4強に入った。先発の半数以上を担う2年生の周りを経験豊富な3年生が固め、安定した成績を残した。しかし、準決勝以降の大舞台ではミスが目立ち、壁を越えられなかった。辻川監督は「負けるときは自滅。夏は情けないことは絶対にやりたくない」と誓う。勝負どころでいかに冷静さを保てるかが分かれ道だ。

◇攻撃「走者をためて稲垣ら中軸へ」

 それぞれタイプの違う鈴木、稲垣、上地の中軸が面白い。その前にいかに走者をためるかがポイント。下位は振りが鋭く、爆発力を秘める。鈴木は打撃センスが非凡で、稲垣は一発長打がある。上地は勝負強い。選球眼のいい上位の山口、大熊の出塁率が高く、中軸に続く瀬尾、長島はパンチ力がある。俊足の長島、大熊を中心に走塁も安定。課題は犠打の確実性か。

◇守備「左右の2年生支えるバック」

 左の早川、右の鈴木という2年生2本柱をバックがもり立てる。早川は直球の最速が130キロながら、決め球のカーブと緩急の落差があり、絞りづらい。鈴木は最速135キロの直球でぐいぐい押していく。3年生の植竹も控える。守備の要である捕手の上地は地肩が強い。普段は遊撃手の鈴木と二塁手の金田はそつがない。外野は中堅手の山口を軸に強肩がそろう。

■Dシード 大宮西

 主力6人が1年時から起用されており、試合経験が豊富。22年目の鈴木監督は「3年計画の最後の代」と意欲に燃えている。春は聖望学園を破り、2年連続のシード権を獲得した。だが、3回戦の市川越戦は14安打で4得点と拙攻が目立った。指揮官は「いろんな点の取り方を探っている」と同じ轍(てつ)を踏まない構え。投打がかみ合えば、台風の目になり得る存在だ。

◇攻撃「厚みある中軸 下位も得点力」

 上位が出て中軸がかえす得点パターンを確立。さらに下位打線にも自信を持っており、一気に大量得点を狙う。1番大志田は俊足で出塁率が高く、2番穂積は小技が利く。中軸には関根、西浦、斉藤と右の長距離打者が並び、甘い球は見逃さない。6番小林、7番寺島は足があり、チーム一の長打力を誇る黒田を8番に置くことでダブルクリーンアップを形成する。

◇守備「大黒柱安本と多彩な救援陣」

 投手陣も守備陣も昨年から出ている選手が多く試合慣れしている。エースは右腕安本。横手から投げ込む最速136キロの直球は威力十分だ。スライダーが決め球の右上の小畑、カーブが得意な左の草薙と救援は多彩。昨年1番を背負ったこともある右の西浦も控えている。捕手黒田のリードが鍵を握る。関根、穂積の三遊間は内野の要。ささいなミスには要注意だ。

埼玉新聞