日本食を世界無形文化遺産に 登録へ農水省が初会合
農林水産省は5日、日本の食文化の世界無形文化遺産登録に向け、有識者による第1回検討会(会長・熊倉功夫静岡文化芸術大学長)を開いた。福島第1原発事故で揺らぐ日本食の信頼を回復し、食材の輸出拡大や日本への観光誘致を図るのが狙い。検討会は報告書を10月に取りまとめ2013年11月の登録決定を目指す。
キッコーマンの茂木友三郎名誉会長や服部幸応・服部学園理事長らがメンバーを務める検討会では「世界が日本食に注目しているのは健康や美しさ」という意見が多数を占めた。そのため、ユネスコへの登録申請は、会席料理など洗練された日本料理から一般的な和食も含めた内容になりそうだ。
世界無形文化遺産には日本の歌舞伎や能楽が登録されている。食文化の関連では「フランスの美食術」「メキシコの伝統料理」「地中海料理」が昨年11月に登録。「韓国の宮中料理」も今年11月をめどに登録される見通しだ。
ユネスコは国や民間が実施する食文化保護の活動も審査する。フランスはサルコジ大統領自身が登録に力を入れていたとされており、検討会では政府の取り組みのほか、国内世論の喚起なども課題にする。
福島第1原発事故で世界の約40カ国・地域が日本からの食品輸入の規制を強化。中には過剰規制といえるものもあり、政府はこれまでも国際会議などの機会を利用し、日本食の安全性に理解を求めている。〔共同〕
関連企業・業界