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商品先物取引のしおり−国内商品市場取引−
1.商品先物取引の特徴
商品先物取引とは、将来の一定期日に一定の商品を売り又は買いを約束して、その価格を現時点で決める取引です。
商品先物取引の特徴としては、以下の性質があります。
商品の価格をベースにした取引
将来の商品の価格動向をベースにした取引です。将来の一定の期限以前であればいつでも反対売買(※1)をして、取引開始時点と反対売買時点の商品価格の差額を清算して取引を終了することができます。このような取引を「差金決済」ともいいます。 また、「買い」だけでなく、「売り」からも参加することが可能ですから、価格が上昇しても、下落しても、どちらからでも取引を始めることができます。
 (※1) 反対売買:買っていたものを転売、又は売っていたものを買い戻すこと
証拠金取引
商品先物取引を始める段階で必要な資金は、全体の取引に必要な金額ではなく、「証拠金」という担保であり、これを預託することによって大きな取引ができます。すなわち、少額の資金でその何倍もの取引ができることから、レバレッジ(※2)による取引といえます。
(※2) レバレッジ:てこの原理
ハイリスク・ハイリターン取引
商品先物取引は、資金を効率的に運用できる取引ですが、反面、価格の変動次第では、預託した証拠金を上回る損失になる可能性もあります。したがって、ハイリスク・ハイリターンな取引といえます。
期限のある取引
株式の現物取引や預金等の資産運用と異なり、一定の期限が来ると商品の売買の約束を履行することになります(この期限のことを「限月」といいます)。したがって、品物を必要としない、資産運用のために商品先物取引を利用する場合は、一定の期限が来る前に反対の売買を行わなければなりません。国内商品取引所の上場商品の限月(※3)は、主に6限月制で、取引の期間は、約6カ月から約1年となっています。
(※3)東京商品取引所で上場される電力(15カ月の15限月制)のように、取引期間や限月が異なることがあります。
<商品先物取引の損益計算例>

実際の売買には、委託手数料等の費用が発生しますので、ご留意ください。


東京プラッツドバイ原油を約定値段40,000円/klで1枚(*)買建てた場合

  • 42,000円で転売(差金決済)すれば、1kl当たり2,000円の利益
    ⇒ 1枚の取引単位は50kl(倍率50倍)なので2,000円×50倍×1枚=100,000円となり10万円の利益
    (*) 枚:市場で用いられる取引の単位。 1枚当たりの商品の取引単位はそれぞれの商品ごとに異なっています。

  • 39,200円で転売(差金決済)すれば、1kl当たり800円の損失
    ⇒1枚の取引単位は50kl(倍率50倍)なので−800円×50倍×1枚=−40,000円となり4万円の損失



新潟コシ(新潟県産コシヒカリ)を約定値段13,000円/60sで1枚売建てた場合

  • 14,000円で買戻し(差金決済)すれば、60s当たり1,000円の損失
    ⇒1枚の取引単位は1,500s(倍率25倍)なので−1,000円×25倍×1枚=−25,000円となり2万5千円の損失

  • 12,200円で買戻し(差金決済)すれば、60s当たり800円の利益
    ⇒1枚の取引単位は1,500s(倍率25倍)なので800円×25倍×1枚=20,000円となり2万円の利益
2.リスク管理の重要性
商品先物取引に対する考え方
商品先物取引は、ハイリスク・ハイリターンに分類される運用手法です。このことが、ある投資家には魅力的である一方で、別の投資家にとってはデメリットにもなりえます。したがって、常に大きな危険と隣り合わせの取引であることを理解したうえで、自分の投資に対する考え方を整理して取り組む必要があります。
基本的にはリスクを避け、できるだけ低リスクで高リターンが望ましいことです。もちろん高い安全性と高い収益性を兼ねた金融商品など存在しませんが、同じリスクを享受するのであれば、より高いリターンを期待するわけです。逆にいえば、それほど高いリターンを望まなければ、高いリスクを取る必要もありません。
商品先物取引のリスク
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価格変動リスク
商品先物取引の価格については、現物商品の価格動向によって変動します。また、現物商品の価格については、商品の需給動向や国際情勢等の様々な要因によって変動します。
A
金利変動・為替変動リスク
商品先物取引で取引する商品については、金利変動により預金や債券などの投資商品の価値が相対的に変化することに伴い、商品の価格も変動することがあります。また、為替変動により、外国における外貨建ての商品の価格が変動していなくても、円建てでみると商品の価格が変動することがあります。
米ドル建ての原油価格 40 ドル/バレル ⇒ 40 ドル/バレル
米ドル/円の為替 1 ドル/110 円 ⇒ 1 ドル/109 円
円建ての原油価格 4,400 円/バレル ⇒ 4,360 円/バレル
B
流動性リスク
商品先物取引については、例えば、買建の場合には、納会日までに決済(売り決済、反対売買)することにより、市場から退出すること(差金決済)ができます。その際、市場の流動性が低い(取引相手が少ない)場合には、取引がお客さまの希望する価格やタイミングで成立しない場合があります。 また、差金決済を行わない場合には、現物商品の受け渡し(現物決済)を行う必要が生じます。現物商品そのものの受渡しとなりますので、買建てのお客様は代金を渡して現物商品(倉荷証券)を受け取り、売建てのお客様は現物商品を渡して代金を受け取ります。
リスク管理の基準
商品先物取引のリスクについては、事前にしっかり理解しておくことが非常に重要です。
まとめ
具体的事例としては、相場の悪化により値洗い損が増大した場合、証拠金不足が発生して追加の証拠金を1回だけでなく2回、3回と預託する可能性があります。相場の反転を期待して建玉を維持するために証拠金を預託するか、それとも損は損として見切りをつけて建玉を反対売買し決済すべきか、証拠金不足となりさらに預託が必要になったときは、これを判断する良い機会です。沈着冷静に、特に投資家自身で損失を被っても生活に支障のない範囲として設定した投資可能資金額のうち、どの程度まだ余裕があるのかをきちんと考慮して、対処することが肝要です。
3.情報収集の重要性
商品価格の変動には、様々な要因が影響しています。ここでは原油を例に価格変動要因を簡単に説明いたします。これ以外にも価格変動要因はありますので、詳細な分析が必要です。
需要と供給
需要面では、世界景気の動向がカギを握ります。一般的に景気が上向けば需要増加から原油価格は上昇し、後退すれば需要減少から原油価格は下落します。
供給面では産油国、特にOPECで生産枠を削減すれば価格は上昇し、生産枠を拡大すれば価格は下落します。
地政学的リスク
世界有数の産油国が中東地域に集まっていますが、この地域は世界の火薬庫とも呼ばれており、潜在的に政情不安やテロなどのリスクがあります。
為替レートの影響
原油はドル建てで輸出入されるため、日本での原油の輸入価格は為替の変動の影響を大きく受けます。円高になれば原油の円換算価格が下がり、円安になれば原油の円換算価格が上がりますので、日本で商品先物取引をする場合には、米ドルと円の換算レートの動きも大きく影響してきます。
まとめ
原油は最大のエネルギー資源ですが、最近では、天然ガス、シェールガス、太陽光発電、風力発電などの供給が増え、エネルギー資源のシェアが徐々に変わりつつあり、これも長期的には原油価格にも影響があります。
このように原油を取引するには、景気動向や為替市場を含めた幅広い視野をもった相場観が問われることとなり、穀物であれば、世界の天候や作付け状況といった固有の事情も絡んできます。
投資判断のためには、商品価格に影響を及ぼす国内外の各種指標の内容やニュースなどの情報収集が重要です。インターネットを活用して重要な情報収集に努めましょう。


※ 商品先物取引の初心者向け情報の入手先につきましては、下記をご参照ください。
商品先物取引に関する入門書
めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAIが作った「商品先物取引」入門(ダイヤモンド社)
https://www.diamond.co.jp/book/9784478100349.html
商品先物取引入門 - 学習(東京商品取引所)
https://www.tocom.or.jp/jp/guide/study/nyumon.html
上場商品の基礎知識に関する冊子(管理グループ(研修登録担当):03-3664-4734)
コモディティハンドブック 貴金属編(日本商品先物取引協会)
コモディティハンドブック 石油・ゴム編( 同 上 )
コモディティハンドブック 農産物編( 同 上 )
上記書籍は東京商品取引所から大阪取引所への移管前に作成されたものであり、移管された上場商品が含まれます。
4.国内商品取引所
商品取引所名 所在地(ホームページアドレス)
上場商品
電話番号
株式会社東京商品取引所 〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町2-1
https://www.tocom.or.jp/jp/
03-3666-1361
エネルギー(ガソリン、灯油、軽油、原油、、電力、液化天然ガス)、中京石油(ガソリン、灯油)
株式会社堂島取引所 〒550-0011 大阪府大阪市西区阿波座 1-10-14
https://www.odex.co.jp/
06-6531-7931
貴金属(金、銀、白金)
農産物(コメ、とうもろこし、米国産大豆、小豆)
砂糖(粗糖)
5.ご相談、ご質問窓口
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電話やFAXなど、勧誘を止めてほしい。
A
理解していないのに、契約をしてしまった。
B
取引中(前・後)だが、いろいろな疑問ある。など

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