「日常」謎の配信短縮に思うこと

 ニコニコ動画で毎週日曜正午から配信されているアニメ「日常」。良くも悪くもとてもニコニコ動画向きの作りで毎週楽しみにしているのですが、その動画配信で最近不穏なニュースが続いています。

http://blog.nicovideo.jp/niconews/2011/05/013184.html
http://blog.nicovideo.jp/niconews/2011/05/013309.html

 無料配信が1週間から3日間に短縮。有料配信も配信から3週間で打ち切り。まったくの不意の出来事に狼狽えていたのですが、何しろ事情がわからないため、ネット上では「BDの予約が伸びないからだ」「いや、人気がありすぎてトラフィックが厳しいからだ」「いやいや、人気なさ過ぎで角川撤退準備だよ」等々、様々な憶測が飛び交っていますね。

 正直なところ、こういった憶測はどれもしっくり来ない、というよりも何か合理的な理由があって為された判断とはとうてい思えない。じゃあ何が原因なんだ?という話ですが、あくまで憶測であることを念をおした上で自分の思ったことを少し書いて見ようかと思います。

 まず再生数に比してBD予約枚数が伸びないという件。これについては制作サイドも最初からある程度織り込み済みだったのではないかと思います。好き嫌いの別れるナンセンスギャグで、ニコニコ動画でみんなでツッコミながら見るのはとても楽しいですが、じゃあBD買って高画質で一人で楽しむか?と問われたらちょっと違うかな、と思ってしまうんですよね。先日の記事でも書きましたが、「日常」という作品は単純にパッケージ商売で回収しようというモデルではなく、むしろ今まであまりアニメを見てなかった新しいファン層を開拓するための戦略的な作品なのではないかというのが個人的な所感です。

日曜お昼は「日常」の時間 - 未来私考

 トラフィック云々に関しては約8000万PVというニコニコ動画の1日の再生数を考えたら、たかだか1動画が10数万再生したところで誤差の範囲に過ぎないというのは容易に想像が付きますし、実際関係者にも否定された模様ですね。

 じゃあ何が理由なんだ?ということで、可能な限りポジティブな可能性を検討した結果出てきたのが「データ収集」。極めて安定した人気を誇る「日常」だからこそ、今までにない配信パターンを試してそれがどのような影響が出るのかを今後の為にも調べておきたいという意図は考えられないかなと。もともと「日常」の再生数は初日2日目に偏っていて、回を追うごとにその傾向が強まっていたりします。それが3日間限定にすることでどう変化するのか、あるいはしないのかというのはとても興味深いですね。

 で、実際に調べて見たのですが、見事なくらいまったくそれ以前と傾向が変わらないw。ひょっとしたら来週以降また変化があるかもしれませんが、多くの「日常」視聴者は配信時間が変わったところで特に行動を変えなかったということでしょう。

 もう一つの有料配信の打ち切りですが、これは駆け込み需要が発生するか否かのデータ収集目的と考えるとしっくりくるかなと。3日間限定と合わせ技で見逃してしまった人もそれなりに居るでしょうから、これからニコニコ動画と深く関わっていく角川としてはそのあたりも数字に反映されるのかどうかという見極めをしたいという考えがあっても不自然ではありません。

 とはいえ、こういう形でユーザーに不信感を抱かせてしまっている以上、全部が全部ポジティブな理由で行われているとも思いがたいところもあり、つい先日発表された角川とドワンゴ資本提携が思わぬところで作用してたりしないのかなという邪推もないではなかったりします。

ドワンゴと角川グループが資本提携 コンテンツ連携へ関係強化 - ITmedia NEWS

 今後角川チャンネルが整備されればおそらく「日常」のコンテンツもそちらに移管されることになると思うのですが、そういったやり取りの中で角川サイドとニコニコ動画サイドで主導権の奪い合いがあり、その駆け引きの結果として、このなんだかよく分からない取り決めが為されていったという可能性はあったりするのではないかなとか。まああくまで推測、邪推ではあります。

 配信停止された動画がその後もずっと試聴出来ないままになるのか、あるいは何かのタイミングでまた有料or無料配信されるのか、そういった事も現時点ではまったく不透明ですが、あまり悲観的になりすぎず、まあなるようになるかというくらいでいたいとは思っています。出来ればこういったゴタゴタはあまり見たくはないのですけれどもね。