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これでいいのか!添付文書
ザイザルの「根拠不明の禁忌」に思う

2011/05/30

 皆さんもご存じのように、レボセチリジン(商品名ザイザル)は、ラセミ体であるセチリンジン塩酸塩(商品名ジルテック他)の活性本体であるR-エナンチオマーを主成分とした抗アレルギー薬です。

 レボセチリジンの承認申請には、主に海外の情報が利用され、日本では有効性や安全性を確認する試験は行われていません。ですから、国内で臨床試験が行われたセチリジンとは、類薬(というかほぼ同一薬)でありながら、添付文書の内容が若干違うことはやむを得ないと思います。

 しかし、「禁忌」の項目となると話は別です。レボセチリジンには、セチリジンにない禁忌項目があることをご存じでしょうか。

 これが、レボセチリジンの「禁忌」です。

1.本剤の成分又はピペラジン誘導体(セチリジン、ヒドロキシジンを含む)に対し過敏症の既往歴のある患者
2.重度の腎障害(クレアチニンクリアランス10mL/min未満)のある患者[高い血中濃度が持続するおそれがある。]

著者プロフィール

笹嶋勝(日本メディカルシステム株式会社〔東京都中央区〕)
ささじま まさる氏。大学病院でDI(医薬品情報管理)業務の責任者として8年間勤務した後、現在は、薬局チェーン「日本メディカルシステム」の学術部門長として勤務。東京薬科大学薬学部客員教授。

連載の紹介

笹嶋勝の「クスリの鉄則」
過去に自ら経験した症例やDI業務の中で収集した膨大な情報を基に、医薬品を安全かつ有効に使うために必ず押さえなければいけないポイントを整理し、後進の指導に活かしてきた笹嶋氏。本コラムでは、そのエッセンスを「クスリの鉄則」として紹介していきます。

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