掲載日時: 2011/05/27 12:42:00

英語学習サイト「iKnow!」が有料化した理由--「厳しい意見もあった」

セレゴジャパン代表取締役社長のPaul Greenberg氏と、COOの北條大介氏に、日本の英語学習の現状やiKnow!を有料サービスとして提供する理由を聞いた。

著者 : 藤井涼

URL : https://japan.cnet.com/article/35003283/

 セレゴ・ジャパンは1月27日、有料モデルの英語学習サービス「iKnow!」の提供を開始、これに伴い無料英語学習コミュニティ「Smart.fm」は、3月31日をもってサービスを終了した。これまで無料で英語学習サービスを提供してきた同社がiKnow!の有料化に踏み切った意図は何なのか、セレゴジャパン代表取締役社長のPaul Greenberg氏と、同社COOの北條大介氏に聞いた。

セレゴジャパン代表取締役社長のPaul Greenberg氏(右)と、COOの北條大介氏(左)

 ----まず、日本における英語学習の現状を教えて下さい。

Paul氏

 最も大きな変化は、趣味や旅行のために勉強されることの多かった英語が、今ではなくてはならない存在になったということです。

 これまでは景気も安定しており、国内マーケットのみでビジネスを展開していても問題がなかったため、英語はそこまで必要とされてきませんでした。しかし、日本の人口は約1億3000万人をピークに今後は減少していくと言われています。人口が減り続けた場合、日本市場はマーケットとして成立しなくなるでしょう。そのため、社内での公用語を英語にした楽天やユニクロをはじめ、企業は海外とのつながりを作らなければいけない状況になっています。

 また、日本の英語教育マーケットは世界トップクラスですが、日本人向けのアンケートでは1割程度しか話すことができてないというデータが出ています。今後は、日本の英語教育自体も変わらなければいけないと考えています。

 --なぜ日本人は英語に苦手意識がある人が多いのでしょうか?

Paul氏

 あくまでも私の印象ですが、言語の勉強には目標の設定が必要です。ですが、日本の学校で習う英語は学習過程の1つとしての側面が強いため、英語を勉強する必要性を理解できない子供が多いように思えます。

 また、言語を使うときに最も大切なのは“コミュニケーション”ですが、日本ではコミュニケーションよりも“文法”や“発音”が重視されています。私は、コミュニケーションの際にはこの2つが最も関係ないと考えています。これでは、苦手意識を持ってしまうことも分かります。

北條氏

 日本では、文法や発音に対してあまりにも多くの時間を費やしているため、“コミュニケーションができる”という最終的な目標に対する時間をかなり無駄にしていると思います。

 一方で、セレゴ・ジャパンが重視しているのは“単語”と“フレーズ”です。フレーズとは文法と違って自然な形で使われる文章のことですが、iKnow!はこのフレーズを単語と一緒に学習することで長期記憶領域に定着させ、それらをアウトプットさせることにフォーカスしています。

 --3月に無料の英語学習コミュニティ「smart.fm」がサービスを終了しましたが、有料サービスと並行して運営するという選択肢もあったかと思います。

Paul氏

 smart.fmでもさまざまな機能やコンテンツを提供してきましたが、それでも言語学習サイトとして最適化されているとは言えませんでした。現在のマーケット状況を考えると、日本には必ずより最適化された英語学習サイトが必要になるでしょう。セレゴ・ジャパンではより良いサービスを提供するために有料サービスにすべての力を注ぐ選択をしました。

 --smart.fmは2008年の開始当初、「iKnow!」としてサービスを提供していました。有料サービスを開始するにあたりサービス名を再びiKnow!に戻した理由はありますか?

Paul氏

 やはりiKnow!というサービス名がブランドとして強力だったということです。iKnow!はとてもインパクトがあり、かつサービスをイメージしやすい名前ですから。smart.fmとしてサービスを提供している間も、“iKnow!”と呼んでいるユーザーがたくさんいたくらいです。

 --料金は月額1000円ですが、従量課金モデルにしなかった理由はありますか?

北條氏

 iKnow!は、スマートフォン(iPhone/Android)との学習状況の同期を含めたすべての機能やコンテンツをトータルで、かつ長期で使ってもらうことを想定したサービスのため、初めからフルボリュームで提供するモデルを採用しました。

 やはり、従来のユーザーからはかなり厳しいご意見をいただきました。「smart.fmは無料だから良かったのに」と。ですが、iKnow!のクオリティで今後もサービスが進化していくのであれば、気持ちよく料金を払いたいという声もいただきましたし、スマートフォンに対応しているなら有料でも利用したいという声もかなり多くいただきました。

 --スマートフォンでのiKnow!の利用状況はいかがですか?

北條氏

 反響はかなりありましたね。最近は携帯電話しか持っていない人も多いので、通勤や通学中にスマートフォンだけで学習しているという人もいます。現在はPCベースで学習される人がコアユーザーなのですが、将来的にはスマートフォンでの利用率がPCを追い抜く可能性もあるかと考えています。

 またタブレット端末に対応することで、モバイルデバイス間のアクセスも加速すると思います。iKnow!はタッチパネルとの相性が非常に良いので、今後は自宅のソファなどで気軽に学習していただけるようになります。

 --今後のiKnow!の展開について教えて下さい。

Paul氏

 2011年中にタブレット端末向けのアプリを提供するほか、5月には法人と学校向けにもサービスを開始しました。今後もこれまで以上にユーザーに満足していただけるコンテンツを増やしていくつもりですので、期待していただければと思います。

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