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冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
トランプ「大統領選撤退」に見るティーパーティーの凋落
そう言えば、ティーパーティーという言葉をあまり聞かなくなりました。2010年11月の中間選挙で、保守系の候補を多数当選させて共和党躍進の原動力となったのは、つい昨日のことに思えますが、その後のティーパーティーというのは、ズルズルと失速しているのです。
何といっても、ティーパーティーの看板といえば、前副大統領候補のサラ・ペイリンでしょう。オバマ政権誕生後の政局にあって、「白人+保守+反エリート」という正にオバマの対極のような「キャラ」全開の姿勢は確かに存在感がありました。中間選挙では、応援演説で全国を駆け回って集票能力を発揮、その勢いは2012年の大統領選への待望論になっていたのです。
ですが、ペイリンの人気は長続きしませんでした。
年明けの1月8日にアリゾナ州で発生した女性下院議員狙撃事件を契機として、人気が下降し始め、以降は全く立ち直りの気配もありません。ペイリンのコピーと言われたミシェル・バックマンという女性議員も余りパッとしないままです。
ペイリンの失速ですが、現在では完全に「濡れ衣」だということが明らかになっています。狙撃された議員を含む民主党の候補を、選挙区別に地図で示し「重点的に落選させるターゲット」として「標的マーク」をつけた図柄をウェブにアップしていた、これは事実です。ですが、逮捕された容疑者はその後の捜査により、政治的動機はゼロ、むしろ議員へのストーカー行為が暴走しただけだったのです。
にも関わらず、ペイリンは事件後数日間はダンマリを決め込んだと思うと突然「自分への非難は政治的陰謀」というような激しい反撃を行ったのです。この行動は決定的でした。「被害者は死線をさまよい、巻き込まれて亡くなった人も多い中」発言として全く不謹慎という印象が広まり、支持者が一気に離れたのでした。
実は、ペイリンが「KY(古い言葉ですが)」で無能だということで人気が落ちた、それはあくまでキッカケでした。ティーパーティーの積極的な支持者の中核というには自営業夫婦で、彼等がディナーショーのような資金集めパーティーに喜んで集っていたのですが、そうしたブームが、ある意味で「憑き物が落ちる」ようなことになっているようです。
一部では、支持者の奥さん達がペイリンファンのダンナさんに、「いい加減にしたら」と言い始めたそうで、バックマンの支持が伸びないのも同じ理由という説もあります。
そこで急に人気が出たのが「不動産王」ドナルド・トランプでした。TV司会者としてもメジャーなトランプは、大統領選への野心を公言すると共に、オバマ大統領が「アメリカの領土外で出生したので憲法上大統領の地位を失う」などというキャンペーンを展開、支持率を伸ばして行ったのです。
ですが、その言動の余りの下品さに有権者が愛想を尽かすのに時間はかかりませんでした。トランプ人気というのは、ある意味一瞬でした。勝ち目がないだけでなく、このままズルズルと選挙運動的な行動を続けても自分のイメージは悪化するだけと悟ったのか、最後は呆気ない撤退となりました。
それにしても、あれほどの勢いを誇ったティーパーティーが比較的短期間に存在感を失ったのはどうしてなのでしょう?
1つには、オバマ大統領が「ビンラディン討伐」という烈しい判断に走ったことで、「反エリート、反オバマ」の右派ポピュリズム的モメンタムが、根本から倒されたということがあります。
ですが、それは主要な原因ではないように思います。1つにはティーパーティーの中核に位置していた自営業のオーナーたち(農場主を含む)にとって、ここ半年の間にかなり景気が回復しており、現政権への「怨念」が消えたということがあると思われます。税制に関してもオバマが「ブッシュ減税」を丸呑みしたことで、非難する理由は消えています。
更には、オバマ政権と共和党の対立点が変化したという問題も重要です。現在のアメリカの政局は、「2020年まで」というタイムスパンで財政再建を行うということを前提に、激しい対立を抱えながらも実務的なパワーバトルに突入しています。こうした政局では、金切り声のペイリンや、放送禁止用語ばかりのトランプの出る幕はないということもあります。
そんなわけで、既に過去の存在となりつつあるティーパーティーですが、それでは2012年の大統領選へ向けた、共和党の予備選レースはどんな展開になるのでしょうか? 結論からいえば、以降はギングリッジ、ロムニー、ポウレンティーといった実務家が軸となって行くと思われます。そうは言っても、こうした名前というのは何とも地味であり、もしかしたら、共和党は2012年の大統領選への戦闘意欲を失いつつあるのかもしれません。
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