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 6月16日、東京23区の区長が集まる区長会が開催された。冒頭に、低炭素社会戦略センター(独立行政法人科学振興機構)の「緊急停電予防(防止)システム」のプレゼンを受けた。この夏の「電力需要の逼迫」に対して、同センターが開発した需要予測シテスムを使用して、供給余力10%(レベル1)、供給余力(6%)、供給余力(2%)程度のそれぞれの段階で「注意喚起」→「警報」→「緊急警報」を判断していき、この情報を自治体に伝えて、自治体から住民に緊急連絡網等で「電力使用抑制」を働きかけるというものだ。詳しくは、同センターの「緊急停電防止システム」についての文書を見てほしい。

「大規模停電回避」に自治体の協力を求めるという趣旨は、世田谷区長として東京電力に求めていた「情報開示」とも一脈通じるところがある。だが、プレゼン後に出た次の質問は、本質的なものだった。「停電回避のためにメールを送った後で、停電が回避されたら『おかげさまで、停電は回避されました』というメールは送らないのか。もう少し『見える化』出来ないのか」というもの。私も同感だった。この間、東京電力に対して、「供給限界ラインとリアルタイムの使用量開示」を求めているということを聞いてみたが、「たしかにその情報を出してもらいたいのですが、なかなか出てこない。引き続き要請していく」とのことだった。

 空襲警報のように「停電危機警報」がメールなどで鳴り響くだけではなく、その地域に即した「電力使用量」が開示されていれば、びくびくすることなく、供給余力がある段階であれば安心して電気を使うことも出来るはず。これが、この数週間にわたって東京電力に求め続けてきたことだ。何度かこのブログでも書いているが、すでに東京電力のhpには「電力の使用状況グラフ」という全エリアの情報が15分~30分遅れでアップされている。全体は集計出来るけれど、たとえ23区という広い地域であっても即時の情報開示は出来ないというのが、どうしても納得がいかない。

もう少し調べてみよう。「需給運用」というページには、中央給電指令所の写真と共に次のような記述がある。

〔引用開始〕

 電気は水やガスと異なり貯蔵することが難しく、生産即消費という特性があるため、時々刻々と変化する電力需要に即応した発電所の出力調整をすることが必要です。電圧・周波数が安定した高品質の電気をお届けするために、中央給電指令所では24時間体制で電力需要を監視し、各発電所の出力をきめ細かくコントロールしています。

〔引用終了〕

 この中央給電指令所については『我が家はいつ停電になるの?』(日経ビジネスオンライン)が説明している。

〔引用開始〕

電力には「同時同量」という大原則があります。電力消費量(電力需要)と電力会社の発電量をピタリと一致させるという原則です。もし一致していないと、電力網の電圧や周波数が変動し、安定した電力が供給できないのです。

 このため、電力会社は、気象予報や過去の実績などを使って、電力需要を綿密に予測します。さらに、東京電力本店にある「中央給電司令所」と呼ぶ管理システムで、各地の発電所の運転状況をコントロールしています。数秒単位の調整によって、電力消費量と供給量を合わせているのです。

 もし、同時同量の原則を満たせなくなると、大規模な停電が起きかねません

〔引用終了〕

 この記事は、3月の計画停電の直後に出たものだが、まさにリアルタイムに「同時同量」の調整作業で電力供給が維持されているとのことだ。そして、需要が供給限界を上回る事態を回避するために「計画停電」を実施したのではないかと推測する。とすれば、変電所単位の供給電力量及び供給余力はリアルタイムでつかんでいるのではないだろうか。その数値をグラフにするシステムがないだけなら、全エリアで情報開示している「使用状況」と同じ1時間単位のグラフ表示をするのは難しいことではない。

 さらに不思議なのは、東京電力こそこの夏の「大規模停電」を回避するために全力をあげて供給能力を確保し、同時に「節電」を呼びかけている当事者でありながら、「電力使用量の地域別のリアルタイム開示」に消極的なことだ。空襲警報のようなメールが突然来るのではなくて、自らの地域の電力需給のリアルタイム情報をチェックしながら、電力使用時間をずらしたり、あるいは加減する方が合理的に思える。その上で、「緊急停電防止システム」を導入し「警報メール」も送るのであれば効果的に思える。今週の半ばに、東京電力から第2次回答が出るので、ここに綴った疑問にも答えてもらいたい。



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