先日他界したアダム・ヤウクにとっては遺作となってしまった2011年の8th作。
添え物にしか過ぎなかったラップミュージック、HIP HOPサウンドを、一気にメジャーフィールドへと押し上げ、現在まで続くこのジャンルの礎を築き上げた彼らの功績はあまりにも大きい(今年「ロックの殿堂入り」を果たした)。アダムはそんなグループの中にあってもリーダー的存在であり、精神的支柱であった。このアルバムを聴きながら、彼の冥福を祈りたいと思います。REST IN PEACE・・・
前作がインスト作であったということで、本格的なラップ作品としては「To THE 5 BOROUGHS」以来となるアルバムではありますが、内容的には素晴らしいものがあると思います。
これまでにも色々と音的変遷、冒険を繰り返してきた彼らなのですが、これはその集大成とも評し得る作品となっているんじゃないでしょうか。
シャープ&タイトな演奏、最近では珍しいストリート感バリバリのアティテュード(まさにブロック・パーティー!)、そして独特のゆるゆるしたサウンドプロダクションも楽しめます。
でも、根っこにあるオールドスクールHIP HOPという基本フォーマットはデビューアルバムの頃から全く変わっておらず、彼らの意外にも頑固一徹な側面が、そこは存分に表現されていると感じさせられました。
ラップ部分だけを切り出して聴けば、これは完全に80年代がフラッシュバックしてくる作品ですよね。
近年、こういったスタイルのアーチストというのは、僕の知る限り皆無であり(RUN-D.M.C.等のベテラン以外、特にメジャーシーンにおいては)、尚のこと、今後の彼らの動向というのが気になります。残されたメンバーで活動を続けていくんでしょうか?
本作の内容が秀逸であっただけに、余計にそんな気持ちにさせられました。
彼らがカムバックして来る瞬間を、今は気長に待ち続けたいと思います。