ホリエモンをお見送りしてきました

access_time create folder政治・経済・社会
ホリエモンをお見送りしてきました

今回は酒井英禎さんのブログ『Rails で行こう!』からご寄稿いただきました。

ホリエモンをお見送りしてきました

ホリエモンは、東京高等検察庁に出頭し、収監された。私はその瞬間を見届けようと今日の昼、東京・霞ヶ関に出かけた。

ホリエモンは、12時30分に霞ヶ関の弁護士会館前に現れることをあらかじめ告知していた。12時20分頃、私が現場に到着すると、200人くらいの人だかりができていた。ざっと見たところ、1/3 が報道陣、2/3 が一般人のファンあるいは野次馬だった。

ホリエモンは予定より20分ほど遅れて、会場に現れた。その直前、マスコミのカメラが忙しなく動き、人々が叫び始めた。ホリエモンらしき人物の周りにはあっという間に人だかりができて「そこどいて! 通れないよ!」というような怒号が渦巻いた。わずかにホリエモンとひろゆきの姿が垣間見えた。ホリエモンは低い声でボソボソしゃべっていて、よく聞き取れなかった。

やがてホリエモンが東京高検に向けて歩道を歩き始めた。報道陣と野次馬も取り巻くように移動開始。歩道には警備員が警戒に当たっていて、各所で小競り合いが起こった。私は人ごみをかき分けて素早く前に進み、歩道脇のある場所でホリエモンの到着を待っていた。するとたまたまそこにホリエモンの一団が飛び込んできて、その直後、報道陣にもみくちゃにされた。私も夢中になってカメラのシャッターを切った。ホリエモンの “GO TO JAIL” T シャツとモヒカン頭が、彼らしく挑発的で最高に笑えた。

混乱状況のなか、気がつくとホリエモンはビルの中に吸い込まれていった。私が立っていた場所こそ、東京高検の前だったのだ。それがホリエモンが高検に出頭した瞬間だった。

凄い騒ぎだった。とにかく報道陣はガラが悪く「そこどけよ!」的な怒号が常に飛び交っていた。陣地取りのためだ。マスコミは他社との競争のためには静謐(せいひつ)な環境という公益にはまったく注意を払わないようだ。ある種の特権意識があるのだろう。マスコミってつくづく特殊な人種だなと改めて違和感を感じた。

ひろゆきを見たのは今回が初めてだった。薄く長いあごひげが印象的だった。ホリエモンの“最期”に立ち会うとは、あの二人、けっこういい友達なのかもしれない。いくらニコニコ動画が収監の一部始終を生中継する企画をしていたとしても、仕事のためだけの関係とも思えない。

収監の現場に立ち会ってみて、ホリエモン大人気だな、と改めて感じた。何をしても人々の耳目を集める星の下に彼は生まれついたらしい。収監時に素人のファンが大勢追っかけてきた人って他に誰かいたっけ……?

今日、私がホリエモン収監の現場に赴いたのは、日本の歴史の節目を自分の目で見届けたかったためだ。検察がホリエモンを逮捕しライブドアを潰したことは、日本の新興市場を凍てつかせ、事実上殺してしまった。ライブドア事件はあり得たかもしれない“創造的な日本”という未来を永遠に葬りさってしまった。後世の人々に日本史の転換点として長く記憶されることになるだろう。

ホリエモンをここまで追い詰め実刑まで与えてしまったのは、既得権益層の失策だったと思う。これでホリエモンは殉教者になり反権威の象徴になってしまった。出所したあとの彼により大きな力を与えることになってしまうだろう。

ホリエモンが収監されたこと自体は悲しいことだが、無事出所できれば、刑事被告人としての多くの制約から解放される。ホリエモンの活躍が再び始まるだろう。できれば日本の古い利権構造を破壊してほしいが、彼自身は「ノマド(遊牧民)になりたい」という意味深な言葉を残している。日本に愛想を尽くして外国に活動の舞台を移すのかもしれない。こんな酷い仕打ちをしてしまった我々日本人に彼を止める権利はない。彼が日本を見捨てれば、それはそれで一つのシグナルとなって、日本の優秀な若者の海外流出を加速する結果になるかもしれない。

堀江さん、2年半の“おつとめ”頑張ってください。出所後の活躍を楽しみにしています。

執筆: この記事は酒井英禎さんのブログ『Rails で行こう!』からご寄稿いただきました。

  1. HOME
  2. 政治・経済・社会
  3. ホリエモンをお見送りしてきました
access_time create folder政治・経済・社会

寄稿

ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。

TwitterID: getnews_kiko

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。