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元ネタ>1法人(1人)社長声明
最終更新日:2011年5月13日

1法人(1人)社長声明

日本の科学の歩みについて考える
~シロシベは学生・若手と共に希望ある日本の未来を築く~

 

1. 学生・若手研究者とともに勉学・研究の歩みを止めず未来に希望を持つため協働します
2. 被災した研究施設の復興および新時代の教育研究体制のあり方について広く国民とともに議論されることを望みます
3. 国内および国際的な原発事故による環境汚染・健康被害を小さくするため様々な情報をオープンに検討します

平成23年(2011年)5月12日(木)

株式会社シロシベ 代表取締役 園環樹

 

 2011年3月11日に発生した東日本大震災により,亡くなられた多くの方に心から哀悼の意を表しますとともに,大切なご家族を失われた方々や困難な生活を続けられている皆さまに心よりお見舞い申し上げます。また,被災地や福島第一原子力発電所の事故に対応してご尽力されている方々に,深く敬意を表します。近代日本史上未曽有の東日本大震災とそれに続いた福島原子力発電所の事故により,今日の科学・技術の限界を痛感しております。そして,今こそ日本の復興・新生のために科学・技術の根本的なあり方について再考することが欠かせないと考え,株式会社シロシベはクライアントの皆様とともに総力を挙げて知恵と力を出す覚悟です。

 大震災により,東北地方をはじめ東日本の大学および研究施設,そして森林も田畑も海も空も土も魚も牛も野菜も大きなダメージを受けました。 石油やウランといった天然資源には恵まれない日本ですが,四季折々の豊かな自然に恵まれ,また「科学」という言葉が日本にやってくるずっと前から脈々と続く豊かな歴史と文化は国際社会における貴重な存在であります。このような人類の財産が失われ汚染された今回の原発震災を克服し,さらに文化的で豊かな社会を創り出すためには,科学と社会の関係,科学者の使命について根本的に見直すことが不可欠です。我々は,被災した大学施設や研究施設の早期復興および教育研究体制の確立支援を願うとともに,科学・技術のあり方について本腰を入れて考え直す所存です。

 とくに,これからの日本や世界の文明の将来を憂い,日々努力を重ねていた大学生,大学院生,そして研究の道を歩み始めた若手研究者,とりわけ博士研究員(ポスドク)にとって,今回の震災は日常生活を奪うだけでなく勉学,研究の場を奪い,将来の夢までも失うどころか,政治利用される科学者の実態に絶望することになりかねません。株式会社シロシベは,日本の将来ある若者たちが「世界の第一線で活躍する」といった敗戦国根性丸出しの価値観から脱却し,自由に楽しく研究活動に没頭することが,日本の復興及び多様な価値観の共存する真に豊かな世界の構築に欠かせないと考えます。我々は現状に鑑み,学生・博士研究員・若手研究者と共にある企業として,被災により勉学や研究活動に影響を受けた若者とともに,これからも勉学や研究の道をともに歩んでいくことを表明します。被災した大学および研究施設が早く勉学・研究を落ち着いてできる状態になるよう願います。

 福島第一原子力発電所放射性物質の漏出に対して,御用学者の安全デマなどとも揶揄される必ずしも正確でない情報発信にも影響されて日本国内はもとより国際的に放射性物質による汚染に関する懸念が深まっており,国民社会,研究・教育,産業等に様々な影響が出ております。多くの分野の専門家集団から構成される科学者コミュニティとしての各学会は,これまでにも増して国内はもちろん各国学会とも協力し,お忙しいとは思いますが,積極的に情報発信され,オープンな議論に参加されることを願います。

提言① 学生・若手研究者とともに勉学・研究の歩みを止めず未来に希望を持つため協働します

 現状では,被災した大学,研究所では多くの装置,機器類が使用できず,若者たちがこれまでの努力を持って得た貴重な勉学・研究の時間が奪われています。また,さらに,直接的に被災していない若者たちも,私たちが従事してきた研究活動が本当に人類の福祉に貢献しているのか,巨大な利権集団を構成する一員として生命や安全,倫理をなおざりにしてきたのではないか,という疑念が頭をもたげ,勉学・研究への意欲の低下,精神的ダメージが非常に大きいのが現状です。さらに,今に始まったことではありませんが,雇用・経済的問題から生活に対する不安も抱えています。この精神的な不安定は「正常」な反応であり「病気」ではありません。シロシベは焦燥感と無力感に苛まれ未来に不安を感じる一若手研究者として,この不安を糧とし,みなさまとのつながりに感謝しつつ,勉学・研究の歩みを止めず精進いたします。

提言② 被災した研究施設の復興および新時代の教育研究体制のあり方について広く国民とともに議論されることを望みます

 被災した大学,研究施設では建物の損壊をはじめ,地震によって建物,施設,装置や設備,貴重な研究資料や試料が破損されました。こうした施設,装置,設備,資料,試料については,ただ単に震災前の状態に戻すということではなく,新しい時代の教育研究体制の構築を視野に入れた復興が望ましい。すなわち,全日本の国民とともにオープンに議論することが欠かせません。研究体制・研究教育環境の復旧復興にあたっては,今後を見据えて教育研究予算を柔軟に使用できる工夫も必要なのかもしれません。しかし,復興のビジョンはこれからの日本が進む方向にも関わる重要な課題であるため,学会と国だけの閉じた関係の中で意思決定がなされることに幾許かの不安を禁じえません。

 被災地域には我が国が有する大型装置を備える研究施設が多くあり,これら大型装置の被災による損害は甚大です。こうした研究施設,例えば,大強度陽子加速器施設(東海村)や高エネルギー加速器研究機構(つくば市)の加速器施設やフォトンファクトリー等についてはよく分からないので言及しませんが,世界をリードすることにどのような意味があるのか,どこに向かってリードしたいのか,国民との開かれた対話が活発に行われることを切に願います。

提言③ 国内および国際的な原発事故による環境汚染・健康被害を小さくするため様々な情報をオープンに検討します

 東日本大震災や福島第一原発事故に関して,各国の友人からお見舞いと励ましや協力の申し出など心温かいメッセージをたくさん頂きました。一方で,国内マスメディアの報道を中心に過度に楽観的な情報が氾濫し国際的にも不信を招いているように思われます。これにより,国民社会,研究・教育,産業等に様々な影響が出ております。我々は国内はもちろん,各国から可能な限り情報を収集し,それらの情報をオープンに検討し,科学技術立国としての我が国の貢献云々の前に,原発放射性物質漏出事故による周辺住民の健康被害,国際的な環境汚染を最小限におさめるために,実際のところは事態に推移を呆然と眺めること以外できていないのが現状ではありますが,可能なかぎり非力ながら最大限尽力いたします。

 

 上記3つの提言に対して,株式会社シロシベは努力を惜しみません。日々接する濃密な情報に溺れ,クライアントの皆様にご迷惑をかけつつ,しどろもどろに日常業務をこなすのが精一杯な毎日ですが,「34学会(44万会員)会長声明」を拝読し,つい反応してしまいました。提言①は科学を志す若者とそのご家族に向けて,提言②③は34学会会長の先生方,また,国民の皆様全体にお伝えしたいと思います。株式会社シロシベは,皆さまのご指導ご鞭撻を賜りながら,ともに手を取り合い,次代に希望ある日本の未来をともに築いていくことができればと考えております。


問合せ先:
 株式会社シロシベ 代表取締役 園環樹
 〒521-1222 滋賀県東近江市佐野町237番地
 E-mail: t@psilocybe.co.jp (@を半角に変えてください) Twitter: @tamakisono