2011年7月10日0時43分
岩手県宮古市の職員が河口に面した市庁舎5階から撮影した大津波の映像が、ネットの無料サイトで公開され、話題だ。津波襲来前からの26分間という長時間映像が特徴で、6月末に公開してからアクセス数は1万1千回を超えた。
撮影したのは、市水産課主任(現総合窓口課)だった伊藤真さん(39)。漁業記録のため普段から撮っており、大津波警報発令の直後、市役所5階の非常階段で直下の閉伊川河口付近を撮り始めた。
最初は、海が膨れ上がり危険が迫るのに高さ5.26メートルの河川堤防に遮られ、車が海岸道路を平然と走っている場面から。次いで引き波で河口の川底が見えた直後、真っ黒な波が堤防を乗り越え、船や車を押し流し建物を破壊していく。10分もすると河口の水が引いていくのに、今度は逆に堤防で遮られ、地上の水がなかなか引かない様子が克明にわかる。
「津波が来てっぞ」と地上の人に避難を促す同僚職員、「何なんだ、これ」とつぶやく伊藤さんの声も入っている。当時、恐怖とともに海の冷気が押し寄せて鳥肌が立ったという。
配信サイト「科学映像館」を運営するNPO法人の久米川正好理事長は「これまで公開された映像の多くは数分程度しかなく、貴重な記録だ」と話す。同サイトのアドレスはhttp://www.kagakueizo.org/(伊藤智章)