<巨人3-2阪神>◇3日◇東京ドーム

 ショック、ショック!

 「魔の7回」を乗り越えたと思ったら、コバヒロと球児の切り札リリーバーが落とし穴にはまった。高橋由には2戦連発。おまけに伏兵古城に被弾で、悔しすぎる逆転負けだ。これで4月から、勝率5割で迎えた試合は6連敗でヤクルトにはなかなか近づけない8ゲーム差。いつになったら貯金できるねん!

 阪神藤川球児投手(31)はその瞬間、左方向に首を回した。虚を突かれた表情。そして悲鳴と歓声が交錯した。東京ドームに伏兵が潜んでいた。誰もが延長戦の突入を確信した9回裏。まさかの場面が待っていた。相手は途中出場の古城。3球目の内角ストレートだった。「甘かったし、思い切り芯でとらえられた」。少し高めに浮いた所を強振され、右翼へサヨナラ被弾。「野球は流れなんで…。今日は負けました。勝負事なので、負けることもある」。大粒の汗を流しながら、今季初黒星を潔く受け止めた。

 Wの悲劇で悲願の時がお預けになった。4月23日以来となる貯金生活は目前まで来ていた。藤川ショックの伏線は8回にあった。小林宏が連夜のショックに打ちひしがれた。

 1点リードのセットアッパー。ラミレスを打ち取った後、高橋由に左中間スタンドにソロを浴びた。24時間前にも同じ8回に高橋由にソロを喫していた。相手、時間帯、打球方向、着弾点まで、まるでVTRを見るような同じ光景。この日は同点となり、サヨナラ負けに結びついただけに、ダメージが大きかった。

 「かなり悔しい。2戦連続で同じことをしているから、ちゃんとしないといけない」

 榎田が2軍でリフレッシュ中。8回の重責は小林宏にしか託せないが、期待に応えられない。苦手意識という言葉が報道陣から出ると、真弓監督は語気を強めた。

 「苦手意識を持ったらアカンやろ!

 どれだけ打たれても、3割以上は打たれへんのやから」

 きょう4日には3戦目がある。2日連続の被弾で、嫌なイメージを残したのは確かだ。

 4月26日以降、勝率5割で迎えた試合は、これで6戦6敗。チーム状態は上向きのはずが、見えない壁に押し戻されている。真弓監督は顔を左右に振って、負のデータを否定した。

 「そういう意識はしていない。ここまで来たら、1試合1試合やるだけ」

 ただ、一気に突破できないのも事実だ。5位に低迷しているとは言え、巨人との戦いはどうしても接戦になる。これは宿命なのか。首位ヤクルトが引き分けて、ゲーム差は8に広がった。3位広島が0・5ゲーム差で迫る。逆転優勝を狙う真弓阪神に、立ち止まっている時間はない。【田口真一郎】