セイヨウハコヤナギ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
セイヨウハコヤナギ
セイヨウハコヤナギ
分類クロンキスト体系
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : ビワモドキ亜綱 Dilleniidae
: ヤナギ目 Salicales
: ヤナギ科 Salicaceae
: ヤマナラシ属 Populus
: ヨーロッパクロヤマナラシ P. nigra
変種 : セイヨウハコヤナギ P. n. var. italica
学名
Populus nigra L. var. italica (Duroi) Koehne (1893)[1]
シノニム
和名
セイヨウハコヤナギ、ポプラ、イタリアヤマナラシ、ピラミッドヤマナラシ[1]
英名
Lombardy Poplar

セイヨウハコヤナギ (西洋箱柳[3]学名: Populus nigra var. italica)は、ヤナギ科ヤマナラシ属落葉高木。別名はポプラ[1]、イタリアヤマナラシ[1]、ピラミッドヤマナラシ[1]、イタリアポプラ[4]、クロヤマナラシ[5]。多くのポプラ類の中でも、日本ではごく一般にポプラと呼ばれている樹種である[3][注 1]街路樹など並木によく使われる。和名の由来は、西洋から渡来したハコヤナギの意味で、「ハコヤナギ」は材から箱をつくったことによる[4]。公園樹に利用される。

特徴[編集]

ヨーロッパから中央アジアユーラシア原産といわれる[6][5]落葉広葉樹高木[7]。生長が早く[8]、雌雄異株で、湿地を好む。幹や枝がすべて直立して、を逆さまにして立てたような独特の樹形となる[3]。樹皮は灰黒褐色で縦に裂ける、次第に裂け目は深くなる[6]。枝は上向きに伸びる[4]。一年枝は黄褐色で、つやがあり無毛[6]。短枝もよく発達する[6]。老木になるとよく幹に空洞ができる[8]

互生[3]。葉身は三角状から菱形で、若い枝の葉は倍くらい大きさになることも多い[5]ヤマナラシハムシが葉を食害して、葉脈標本になる[7]葉柄は平たい[4]。秋には紅葉して鮮やかな黄色に色づく[4][5]。花期は3 - 4月[7]。果期は5 - 6月[7]種子は綿毛がつく[3]。冬芽は互生し、先端が尖った長卵形で、やや樹脂をかぶる[6]。頂芽は側芽よりも大きい[6]。冬芽は赤褐色の芽鱗6 - 8枚に包まれていて、側芽は枚数が少ない[6]。葉痕は半円形で、維管束痕は3個つく[6]

世界中で植栽樹として植えられており、日本にも明治時代にアメリカから渡来し、北海道で多く見られ、学校や公園によく植えられ[7]、しばしば牧場でも見られる[9]。中でも北海道大学のポプラ並木は、特に有名である[3]。材は質が悪く使い道がないとも評されるが、マッチの軸に使われる[7]。材がやわらかくて折れやすく、根が浅いため倒れてしまうこともしばしばある[8]。2004年(平成16年)9月の台風で、北海道大学のポプラ並木が何本か倒れたときには、この材を使って楽器の材としてチェンバロが作られている[7]

セイヨウハコヤナギの花言葉は、「敏感」[7]「勇気」[7]「度胸」[7]とされる。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ポプラはハコヤナギ属ヤマナラシ属の木の総称で、その中でもセイヨウハコヤナギが代表種[4]

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 亀田龍吉『落ち葉の呼び名事典』世界文化社、2014年10月5日。ISBN 978-4-418-14424-2 
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、206頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 田中潔『知っておきたい100の木:日本の暮らしを支える樹木たち』主婦の友社〈主婦の友ベストBOOKS〉、2011年7月31日、120-121頁。ISBN 978-4-07-278497-6 
  • 辻井達一『日本の樹木』中央公論社〈中公新書〉、1995年4月25日、72-75頁。ISBN 4-12-101238-0 
  • 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月27日。ISBN 978-4-8299-0187-8 

関連項目[編集]