プレッシャーがきつい、特殊な雰囲気の講演を3つやった

2011年7月25日(月) 8:36:37

ここ一週間、プレッシャーがきつい講演が3つ続いた。
こういうのってバタバタのときに限って重なるものなのだけど、準備も含めてきつかったなぁ。しかもわりと特殊な雰囲気の講演ばかり。

1)ディナーショー形式の講演
2)100人のお坊さんを相手にした4時間の長時間講演
3)聴衆の94%が女性である国際カンファレンスでの講演

よくもまぁ一週間でこんなに変わった講演が3つも・・・

ひとつ目の「ディナーショー形式の講演」は「ツイアカスタディナー」というもので、ナカヤマンさんとアドマンさん主催の勉強会ディナー。そこでしゃべった。

これ、一回目の講師が斉藤徹くん、二回目の講師がイケダハヤトくん、ということで、全体的に聴衆のレベルが上がっちゃっている勉強会。その辺プレッシャーが強かったが、あまり細かいところに入らずに、わりと本質的な「頭の整理」を話してみた。

先端知識を持っている人が勉強しすぎると世の中の生活者からどんどん乖離する。最近(特にソーシャルメディア界隈は)みんな勉強ばかりしすぎだよw
特に今回は、コミュニケーション実務の経験がない聴衆も意外と多そうなので、あまり手法などの細かいところに入らない方が逆に良いと思った。1時間半しかなかったので事例などは話さず概念的に。というか、最近、事例を話すのがイヤになっている。事例は過去の例。まず考え方をちゃんと知ることが必要。そしてマネではなく、自分で事例を作りだそう。

場所は愛宕山グリーンヒルズの「J.H.V Wine & Marriage」というレストラン。
ボクがしゃべっている間、40名強の方々がフレンチのコースを食べつつ、お酒を飲みつつ、聴いている。不思議な光景だ。お酒が入っているのでもっとくだけた柔らかい内容で、とも思ったが、逆に「ご飯代も含めて、聴いている方々はわりとお金を高く払っている。こりゃ内容をちゃんと伝えないと!」という強迫観念が勝った。かなり真面目に終始してしまった。

ちなみに講師であるボクはコースを食べられず、講演前にメインを一品いただいたのみ。講演後にサービスでフルーツをいただいたりしたけど、ちょっと寂しいw

終了後、23時すぎまで質問をしてくれていたメンツと「タワシタ」に流れて少しおしゃべり。ボクなんかのことを敬ってくれてありがとう。それに値する人間になるようにがんばります。


ふたつ目の現場はなんと「築地本願寺」
お坊さんが100人ほど集まった勉強会で、途中に昼メシ休憩を入れつつ4時間も話した。お寺で話すのも初めてなら、4時間という長丁場も初めての体験。いやぁ希有な経験だったw(写真は参加した方が撮ってツイッターにアップされていたものを拝借)

事前にヒアリングしたところ、宗教者も現代の生活者とのコミュニケーションに悩んでいる、とのこと。
説法にしても伝道にしても、古くからの(一方的な)伝え方でいいのか。震災後の不安定な世の中で宗教ができることは何なのか。それをどう世の中にアピールすればいいのか。最近の新しいコミュニケーションツールなどへの対応はどうすればいいのか。宗教もそういうものを使うべきなのか。などなど。

今年は親鸞750回忌だから、ある意味本願寺は「すごく古い歴史がある、伝統的な組織」なわけである。
伝統的な会社がなかなかそのやり方を変えられないように、宗教もいろいろと変革への悩みがあるんだなぁ。ヒアリングすればするほど話すのが難しくなったw

しかも4時間。
説法のプロ相手、かつ、人生を説く専門家相手である。「思ってもみない流れには乗ってみろ」がモットーとはいえ、乗ってから後悔したw やめときゃ良かった。この講演のプレッシャーは本当にきつかった。

でも、結果的にはわりと楽しかった。終わった瞬間のホッとした感じは極上。

お坊さんたちは壇上のボクにやさしく、ちゃんと反応を返してくれたし質問もいろいろ出た。こういう講演もあまりないらしく、かなり新鮮だったという感想もいただいた。ボクも途中からは楽しく話せた。

で、何を話したかと言うと、テーマは「『伝える』から『伝わる』へ」。

「伝える」は一方的にしゃべること。「伝わる」は、相手が興味を持って聴き、理解して受け取ってくれ、行動に移すところまで行く。「伝わる」ためには「伝える相手」のことをとことん知って、受け手本位に物事を考えないといけない。そんなところから読み解いて、「受け手」を知ることの大切さとそのやり方に2時間、具体的な伝え方や「現代の受け手が使っているツールをもっと使う必要性」の話も後半1時間くらい。

少しはお役に立てたかな・・・?
知らない世界に触れるのは人生最上の楽しみのひとつ。なのでボク自身は満足だけど、この講演自体が「伝わる」ものだったのかどうかはまた別。まだまだ聴衆であるお坊さんへの理解も足りないし、話す技術も足りない。だから不安。大丈夫だったかな。

というか、浄土真宗って剃髪しないので、100人のお坊さんを前に壇上に上がったボクが一番お坊さんっぽい髪型だったというのは内緒だ(笑)


みっつ目は佐々木かをりさんのイーウーマンが主催した「国際女性ビジネス会議」
今年16回目(16年目)にして毎回聴衆満足度が98%を越えるという人気カンファレンス。聴衆は400名強。94%が女性。高校生から70代80代まで。全国津々浦々から参加者が来る。しかも参加費が当日券3万円とお高い(早割あり)。

去年に続き、二度目の登壇だけど、去年は分科会のみだった。今年は全体会議のスピーチと分科会のふたつ・・・これまたプレッシャーでしょ? 死ぬかと思った。

いい加減長くなったので、これについてはまた明日書きますね。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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