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スイス、苦肉の通貨高阻止策 無制限介入という賭け

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日本と同じく自国通貨高に苦しむスイスが苦肉の手段に踏み出した。スイス国立銀行(中央銀行)は6日、過去最高値圏に上昇したスイスフラン相場を押し下げるため、1ユーロ=1.2スイスフランの上限を設けてユーロ相場に連動させる異例の通貨政策を導入。上限以下に抑えるため無制限にスイスフラン売り・ユーロ買いの介入を実施するという。通貨高を是正できなければ同行は巨額の損失を被りかねず、大きな賭けに出た。主要7カ国(G7)の一角を占める日本は同様の措置は取りにくく、通貨高対策に課題が残る。

先進国の中銀が自国通貨の相場に目標を設定し、これを守るために無制限介入を表明するのは極めて異例だ。スイス国立銀は声明で「現在のスイスフランへの過大評価はスイス経済への深刻な脅威であり、デフレリスクを招く」と指摘。加えて「1ユーロ=1.2スイスフランでも高すぎる水準」と表明し、今後目標を下げる可能性を示した。

スイス国立銀は2010年前半に計1400億スイスフラン(約13兆円)規模のスイスフラン売り・ユーロ買いの介入を実施した経緯がある。ところが、スイスフラン高がさらに進み、介入で買ったユーロがスイスフラン換算で減価し、同年中に260億スイスフランの損失を出してしまった。今回はその雪辱を期す格好だ。

当局の為替介入による自国通貨の相場維持は成功するとは限らない。欧州ではユーロ導入前、各国通貨の変動幅を一定に抑える事実上の固定相場制、為替相場メカニズム(ERM)を採用していた。ジョージ・ソロス氏率いるファンドが英ポンドを売り浴びせた1992年秋、英当局はポンド買いの市場介入で対抗したものの、ポンド相場の維持に失敗。ポンドはERMから離脱した。

今回はスイスフランの自国通貨売り介入であるため、金額に制限はない。ただ、スイス国立銀が無制限の損失に耐えられるわけではなく、投機筋との攻防を乗り越えられるかは不透明な面がある。

目指す自国通貨の相場水準を明らかにすることには利益もあれば、不利益もある。投機筋をけん制できる半面、投機筋が当局の意図を無視して攻め続ければ、介入額が野放図に膨らんでしまう可能性があるためだ。

歴史的な通貨高に見舞われているのは日本も同じ。ただ、世界の三大通貨の1つである円が介入で人為的に相場水準を決めるにはハードルが高い。まず、介入に踏み切った場合に欧米主要国の反発が強いとみられる。

日本の通貨当局としては、日銀による金融緩和を進めつつ、自国通貨売り介入の可能性をにじませることが市場をけん制する有力な手段となりそうだ。

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