米アマゾンが多機能新端末 199ドル、アップルに対抗
カラー液晶「キンドル・ファイア」
【ニューヨーク=奥平和行】インターネット小売り最大手の米アマゾン・ドット・コムは28日、「タブレット」などと呼ばれる多機能携帯端末に参入すると発表した。同社は電子書籍の販売や音楽のネット配信などを手掛けており、こうしたコンテンツと組み合わせて提供する。タブレットでは米アップルの「iPad(アイパッド)」が大きく先行しているが、競争が激化しそうだ。
米ニューヨークでジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が記者会見して発表した。「キンドル・ファイア」は7型のカラー液晶画面を採用している。
価格は199ドル(約1万5000円)と、アップルの「iPad2」より6割以上安い水準に設定した。本体価格を手ごろにする一方、電子書籍や音楽、映画などコンテンツの販売でも利益を確保する方針だ。11月15日に米国で出荷を開始する。記者会見でベゾスCEOは「当社が手掛けてきた各種コンテンツサービスを一括して提供する方法を考えてきた」と説明した。米国以外での販売計画は明らかにしていない。
アマゾンは2007年に白黒の電子ペーパーを搭載した電子書籍端末「キンドル」を発売した。同社は書籍やCDなどの販売が主力だったが、ネット経由のコンテンツ販売が増加するとみてキンドルを投入、電子書籍端末で世界市場で約5割を握る大型商品に育てた。キンドルは最低価格を79ドルに引き下げて販売を継続する。
タブレットは10年4月にアップルがiPadを発売したのを機に人気に火が付いた。米調査会社IDCによると、4~6月期の世界出荷台数は前年同期比約4倍の1360万台に増加。11年通年では6250万台に達する見通しで、タブレットの攻勢はパソコン販売の不振の一因とされている。
タブレット市場ではiPad2が7割程度のシェアを握り、韓国サムスン電子の「ギャラクシータブ」や米モトローラ・モビリティーの「ズーム」などが追い上げている。電子書籍や音楽・映画など幅広いコンテンツをそろえ、電子書籍端末で市場を席巻したアマゾンの参入は成長市場を巡る競争の行方に大きな影響を与えそうだ。
メーカー | アマゾン | アマゾン | アップル | サムスン電子 |
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製品名 | キンドル・ファイア | キンドル | iPad2 | ギャラクシータブ10.1 |
画面 | 7型カラー液晶 | 6型白黒電子ペーパー | 9.7型カラー液晶 | 10.1型カラー液晶 |
主な使途 | ウェブ閲覧 映像・音楽鑑賞 電子書籍閲覧 | 電子書籍閲覧 | ウェブ閲覧 映像・音楽鑑賞 電子書籍閲覧 | ウェブ閲覧 映像・音楽鑑賞 電子書籍閲覧 |
カメラ | なし | なし | 前面・背面に搭載 | 前面・背面に搭載 |
価格 (ドル) | 199 | 79~149 | 499~829 | 499~ |