子を持つ親であれば誰しも、子どもの幸せと健康を願うものです。思いはなかなか伝わることがなくても思い続けてくれているのが、親なのかもしれませんね。そのことを教えてくれるタイの生命保険会社の、素晴らしいCMをご紹介したいと思います。

このCMは聴覚に障がいを持つ父親とその娘の物語です。手話で自らの意思を伝える父親、そして思春期で難しい時期を迎える娘、ふたりの気持ちはすれ違って行くのですが……。

CM作品の制作を手がけたのは、世界120カ国に拠点を置くマーケティング会社の「オグルヴィ・アンド・メイザー」です。そのアジア支社が「タイ生命保険」の依頼で制作したものです。実は同社は、2009年にも同じくタイ生命保険のCMで、高い評価を得ており、アジアの広告コンテストでグランプリを受賞しているのです。

2011年8月に、最新作品「Silence of love」をYoutubeに公開されました。その内容は父親と娘のすれ違いを描いたものです。聴覚に障がいのある父親は、手話で必死に娘とのコミュニケーションを図ろうとします。しかし思春期の娘は、学校でいじめに遭い、「もっとまともなお父さんだったら良かった。話を聞いてくれるお父さんだったら良かった」と、願う日々が続いていたのでした。

そんな矢先、娘の誕生日のことです。内緒で誕生日ケーキを準備して、娘が部屋から降りてくるのを待ってた父親は、娘の部屋からの大きな振動を感じました。駆けつけると、そこには、自ら命を絶とうとした娘の姿が……。

父親はこの日、娘に伝えようとしていたことがあります。

「私は生まれつき耳が不自由で話すこともできない。本当に、ごめんね。ほかのお父さんたちのように、話すことができない。でも、わかってほしい。お前の事を心の底から愛している」

病院に担ぎ込まれた娘をなんとしてでも助け欲しいと、父親は自らのすべてを捧げると医師に懇願するのでした。

とても短い映像ですが、涙なくして見ることはできません。命の大切さ、そして自分のことを思っている人がいるということを、気付かせてくれる素晴らしいCM作品です。決して仕事中には見ないでくださいね。涙が溢れて仕事ができなくなりますから。

(文=チャーミー)

参照元:Youtube OgilvyAsia http://youtu.be/feVOv1hvxfU