あの首相会見の翌日に菅首相がトルコへの原発輸出希望とはどういうことか。(中川秀直) | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

あの首相会見の翌日に菅首相がトルコへの原発輸出希望とはどういうことか。(中川秀直)


菅首相が「個人の考え」とする脱原発方針を記者会見で表明した日の翌日、菅首相はトルコの首相あての祝電の中で、原発受注交渉の継続希望の旨を述べたと報道されている。

首脳外交によるベトナムへの原発輸出を自画自賛していたのは3.11震災前だったからだという言い訳で整合性がとれるのかもしれないが、「将来は原発がない社会を実現する」と記者会見でいった翌日にトルコへの原発輸出を希望するのはどういうことか。

日本だけが原発のない社会をつくればいいのか。

トルコへの祝電を菅首相はみていなかったのか。

そのいずれにしても、トルコに失礼な話である。

それとも、原発のない社会は遠い未来の話だから矛盾しないというのか。

だったら、そんな遠い未来の願望のために記者会見を開くべきではない。特に、間もなくおやめになる首相の言うべきことではない。

「綸言汗の如し」とは、孔子の「礼記」が出典であり、汗が一度出ると再び体内に戻らないように、最高指導者の言葉(綸言)は口から出ると訂正したり、取り消したりすることはできないとの意味である。

いままでマスコミは、民主党の朝令暮改な発言に寛大だったが、公式の記者会見での首相の発言を「個人の考え」ですましているようでは、そのうち世界から日本の指導者は信用されなくなるだろう。
(7月16日記)中川秀直