<大相撲名古屋場所>◇千秋楽◇24日◇愛知県体育館

 2度目の優勝を決めていた大関日馬富士(27=伊勢ケ浜)が、最後に落とし穴にはまった。稀勢の里と投げの打ち合いから、十分なもろ差しになった瞬間に突き落とされた。前のめりになって思わず「アーッ」と口が動いた。

 「自分の流れだから勝ったと思った。足が滑ったのかな…。全勝で決めたかった」。悔しそうにつぶやいた。年6場所制となった58年以降、大関として15戦全勝優勝したのは輪島、貴乃花、白鵬ら7人だけ。8人目の快挙は逃した。

 それでも「いい相撲ができた」と切り替え、白鵬の8連覇を阻んでの復活Vには「最高に気持ちいい」と喜びに浸った。大関を支える小巻公平後援会長は、10日目から優勝を想定して横断幕を作製。そんな期待に応えて賜杯を手にした。観戦した母ミャグマルスレンさんは「精神的にも落ち着いてました。結婚したのが大きいんじゃないですか」と息子の成長を感じた。

 綱とりの来場所について日馬富士は「チャンスを与えられたんで、1日1日を大事に頑張っていきたい」と引き締めた。今日25日には妻子の待つモンゴルに帰国予定。しばしの休息を取り、重圧に立ち向かう。【大池和幸】