サラリーマン時代の数倍忙しくなったけど、「疲れ」は半分以下かもしれない

2011年8月17日(水) 9:09:21

会社を辞めて独立をして、見事に「土日」と呼ばれるものがなくなった。

というか、もともとオンとオフを分けて考えたことがあまりないので、土日もずっとオンではあった。
でも、サラリーマン時代、土日は基本的に「休み」だった。その「休み」がなくなったのである。常に仕事をやっている感じ。

つまり、「忙しさ」という意味では、独立前より数倍忙しくなった。それまでもかなり忙しい方だったと思うが、それに輪をかけて忙しくなった。ただ、「疲れ」という意味では、サラリーマン時代の半分以下かもしれない。

そう、疲れにくいのである。
いや、物理的な疲れはもちろんある。かなりきつい。でも、たぶん精神的な疲れが激減したんだろうと思う。サラリーマンをやっている時の方が数倍疲れてた。「疲れた疲れた」といつも言っていた。

たぶん、今は、基本的に「すべて自分で決めて動いている」せいなのだろうな。
自分で自分の人生を仕切っているので、日常的に他人に振り回されることが少ない。そして「他人の評価」をあまり気にして生きなくていい(サラリーマンは他人に評価される職業だからね)。疲弊する会議とか不本意な仕事とか「やらされている感」があることが少ないのも大きい。よっぽどイヤならその仕事を辞めればいいし。そういうのもあって疲れにくいんじゃないかな。

そんなことを昨晩、ある店のカウンターで連れに話していたら、シェフが「私もそうです」と話に入ってきた。

自分で独立して店をやり出してから、ほとんど朝から深夜まで店で仕事をしている。でも疲れない。つらくない。
だけど、たまに友人の店にヘルプで入ることがあるが、そのときは本当に疲弊する。気疲れもあると思うが、「他人に使われる」のが疲れの原因なのだろうと思う。そんな話だった。

そうなんだよなぁ。
そういえば、ボクはニューヨークで撮影・編集のディレクションをやったことがあって、特に編集は完全に自分でやった。自分で指示してつないで行った。いわゆる編集監督。20分くらいの長編だった。

で、そのために3日徹夜したのだが、まっっっったく疲れなかったのだ。それどころか「えーもう終わっちゃうの?」って感じだった。超おもしろかった。でもふと気がつくと周りのスタッフたちは疲弊しきっていた。なので仕方なく終わりにした。

それまで、撮影や編集の立ち会いって何百とやっていたが、ボクも毎回疲弊しきっていた。
でもどの監督も元気一杯だった。それを見て「あぁ、基本的な体力が違うんだなぁ」といつも思っていた。でも違った。自分で仕切ると疲れないのだ。他人に使われ、他人のペースに合わせて仕事すると疲弊するけど、自分のペースで自分の仕事をすると疲れないのだ。

たとえばトップの人たち。
大企業の社長とか、自治体の長とか、総理大臣とかって、マジで激務だけど、「あんな激務よく出来るなぁ、基本的な体力が違うんだろうなぁ、体力ある人しかなれないなぁ」とか思っていた。

でも、あれも、きっと同じだ。
自分で仕切ると疲れない。他人に使われるのではなく、使う側というのは疲れにくいのだ。自主的に自分の考えで動くことが出来れば、物理的に忙しくても疲れが少ないのだ。

まぁトップになったことないから、想像でしかないけどねw

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、satonao310@gmail.com まで。

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