イグ・ノーベル賞に日本の7人 わさびの香りの火災警報装置
化学賞
【ケンブリッジ=共同】ユーモアあふれる科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が29日、米マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大で開かれた。わさびのにおいがする気体を噴射して聴覚障害者に火災を知らせる警報装置を開発した田島幸信・香りマーケティング協会理事長(57)、今井真滋賀医科大講師(49)ら日本人7人が化学賞を共同受賞した。
日本人のイグ・ノーベル賞受賞は5年連続。今回は「火災など緊急時に眠っている人を起こすのに適切な空気中のわさびの濃度発見と、これを利用したわさび警報装置の開発」が授賞対象となり、「非常にユニークかつ実用的」(同賞事務局)と評価された。
授賞式前、田島理事長は「聴覚障害者に危険を知らせるために考えた技術が世界に評価されて、本当にうれしい」と述べ、今井講師も「受賞の知らせにびっくりした」と喜びを語った。
警報装置はシームス(東京)が開発。同社の漆畑直樹社長(46)も共同受賞者に入った。睡眠障害が専門の今井講師は臨床試験で貢献。気体噴射機の部分はエア・ウォーター防災(神戸市)が提供し、同社の2人も受賞した。
このほか「強い尿意が意思決定に与える影響」を研究したオランダ、英国、米国などのチームに医学賞が、「違法駐車している高級車を装甲車で踏みつぶして問題解決」できることを示したリトアニアの首都ビリニュスの市長に平和賞が与えられた。