クリード・テイラー率いるCTIレコードからリリースされた「ツァラトゥストラはかく語りき」や「DEODATO2」と同時期に制作された作品。しかし内容は、もうまるっきり違うと言っても差し支えない程に異なる。
例えば、「Carly&Carole」や「Skyscrapers」をCTIバージョンと聴き比べれば違いは歴然。ややスローなテンポに、オルガンのグルーヴやホーンセクションで味付けされた厚みのあるサウンド。ここから極限まで削ぎ落とし、シェイプをはっきりくっきりさせたのがCTIサウンドなのだということがあからさまに解るはず。
しかし、この荒削りでプリミティブ、そして濃厚な習作も捨てがたい魅力がある。ジャズやボサノバ界隈に親和性のあるCTIサウンドは、良く言えばお上品、悪く言うと薄味に聴こえる。チャチャチャ的なキューバンビートを感じる02 Flapや、マンボ調のホーンセクションが愉しい04 soccer Gameなどどの曲も魅力がたくさん。ヘコヘコというブラジルの楽器の音色も味わい深い。後年のシングルノートを活かした格好のいいエレピより、オルガンの厚みのあるグルーヴが心地よく、ラテンのリズムや勢いを感じる一枚でとても好き。