カイロ中心部で大規模衝突 23人死亡
【カイロ共同】エジプトの首都カイロ中心部で9日、南部アスワン県で教会が襲撃されたことに抗議するキリスト教の一派コプト教徒らのデモ隊と治安部隊などが衝突、中東の衛星テレビ、アルジャジーラによると、少なくとも23人が死亡、180人以上が負傷した。死者の大半はコプト教徒とみられる。
エジプトの中東通信によると、2月に崩壊したムバラク政権に対する反政府デモの中心地だったタハリール広場など、衝突現場の周辺に10日午前2時から同7時までの夜間外出禁止令が発せられた。北部アレクサンドリアでも衝突が起きているという。
エジプトでは、人口の大半を占めるイスラム教徒と少数派コプト教徒の対立が頻発。ムバラク政権崩壊後もたびたび衝突が起きていたが、最大規模の死者数。11月下旬に予定される政変後初の議会選の実施にも影響が出る恐れもある。
中東通信などによると、コプト教徒ら数千人がカイロ中心部の国営テレビ前で抗議を行っていたところ、イスラム教徒とみられる集団が投石などで襲撃。デモ隊の一部が暴徒化し軍の車両などに放火、催涙ガス弾などで鎮圧に当たった治安部隊側とも衝突が続いた。
衝突は10日未明までに沈静化したが、コプト教徒の負傷者らが運び込まれた病院付近でもイスラム教徒とコプト教徒が衝突したという。人権活動家は、軍の車両が遺体を踏みつぶしたと非難している。
アスワン県の教会は9月末、同県知事が無許可で建築されたと発言した後に襲撃を受けたという。このため、コプト教徒らは知事の更迭などを求めてデモを行っていた。