【9月23日 AFP】国際赤十字社(International Federation of the Red Cross)は22日、肥満人口が栄養不足人口を上回ったとする統計をまとめた2011年版「世界災害報告(World Disasters Report)」を発表した。

 食糧分配の不平等に焦点を当てた同報告書によると、2010年の肥満人口は15億人で、栄養不足人口は9億2500万人だった。

 赤十字社アジア太平洋支部ディレクターのジャガン・チャパガイン(Jagan Chapagain)氏は、インド・ニューデリー(New Delhi)で会見し「今や栄養過多による死者は栄養不足による死者を上回っている」と述べ、(栄養問題を)「両刃のスキャンダル」と表現した。

 同氏によると、栄養不足の問題は、世界的な食糧不足だけでなく、分配の偏りや食料の廃棄、食糧価格の高騰などに起因している。

 食糧価格は今年に入って世界的に高騰しており、08年の食糧危機時の暴動や政情不安の再燃が懸念されている。赤十字社は、価格高騰の背景には主に投機的取引と気候変動があると見ている。

 赤十字社は、新たな食糧価格の高騰が、深刻な飢餓や栄養不足をもたらし最貧層をさらに困窮させることになると警告を発した。(c)AFP