【7月28日 AFP】約1億5000万年前に生息し鳥の祖先と考えられてきた始祖鳥は、そもそも鳥類ではなかったとする論文が、27日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 始祖鳥は150年前にドイツ・バイエルン(Bavaria)で初めて化石が発見され、以来、進化系統樹において現生鳥類の祖先に当たる原始鳥群「Avialae」の根元に位置するというのが定説だった。その根拠とされる羽毛や叉骨、3本指の足について「非鳥類型恐竜にも見られる」と疑問を呈する科学者もいたが、ごく少数に留まり、定説を覆す確たる証拠が無いまま始祖鳥は鳥類世界の祖先として長年、君臨し続けてきたのだ。

■コンピューターによる分析で衝撃結果

 ところが、中国山東(Shandong)省の臨沂大学(Linyi University)の徐星(Xu Xing)教授のチームはこのほど、同国北東部の遼寧(Liaoning)省で、懐疑派にとって決定的証拠となる新種の恐竜化石を発見した。

 論文によると、「Xiaotingia Zhengi(シャオティンギア)」と名付けられたこの恐竜の大きさはニワトリほどで、推定体重は1キロ以下。始祖鳥の主な特徴を多く持ち合わせていたものの、獣脚類の中で鳥類に最も近い恐竜「デイノニコサウルス類」に分類されると思われた。コンピューターを使った標準分析でデイノニコサウルス類の新種と確認されたが、この分析で、始祖鳥がこのシャオティンギアと同じデイノニコサウルス類に属するという衝撃的な結果も得られた。

 論文に解説を寄せた米オハイオ大(Ohio university)のローレンス・ウィットマー(Lawrence Witmer)教授は「始祖鳥とは、ジュラ紀にそこら辺をうろちょろしていた小型で羽毛を持つ鳥に似た獣脚類に過ぎなかったということが、ようやく認知される時が来たのではないか」と指摘した。

 では、鳥類の祖先は誰なのか?

 徐教授によると、始祖鳥ほどの地位を確立する種は出てこない可能性が高いが、最近発見された3種の恐竜「Epidexipteryx(エピデクシプテリクス)」「Jeholornis(ジェホロルニス)」「Sapeornis(サペオルニス)」が最も有力だという。(c)AFP/Laurent Banguet