鉄道事故批判の北京紙2紙、共産党管理下に
浙江省温州市での高速鉄道事故を巡り、当局の指示に反して鉄道省の対応に批判的な論調を展開していた北京の地元紙が、3日から北京市共産党委員会宣伝部の直接管理下に置かれた。世論の動向管理に強権を発動した。インターネット上では「政府が事故対応を反省し、情報公開のあり方を見直すのが先だ。世論統制は筋違い」など市民からの反発が出ている。
管理下に置かれたのは「新京報」「京華時報」の2紙。いずれも大衆紙として市民からの人気は高い。高速鉄道事故の直後には1面で連日、独自の分析記事や評論記事を掲載していた。新京報では3日付の朝刊紙面から「主管」「発行元」の欄が「光明日報報業グループ」から「中共北京市委宣伝部」に変わった。
高速鉄道事故への報道を巡って、中国当局者は政府批判を助長させかねないと過敏になっている。上海紙「青年報」の編集幹部は紙面編集で党の指示に従わなかったとして解任されたもよう。また、中国国家インターネット情報弁公室は8月にニュースサイトへの統制強化を実施すると通達。サイトの目立つ場所に党や政府の方針を掲載することなども要求した。
(北京=島田学)