「国会」事故調査委員会委員長 黒川清氏。安倍・福田・麻生3代の内閣から特別顧問職に任命され、自民党政権の恩寵を一身に浴びてきた黒川氏が委員長であるとすれば「自民党」事故調査委員会ではないのか、という疑問が一気に氷解する本である。
本書の自負する「衆議院全開一致」による事故調査委員会立ち上げ。これは
「(議長)御異議ありませんか。。御異議なしとみとめます(p.105)」
という問答無用の状況を指すものであった。それは自公+民主党内反菅派閥+菅を切り捨てて延命を図ろうとする民主党議員によって「超党派(p.63)」的に黙認されたものである。
「国会」事故調査委員会の報告書は、東電が事故隠し・データ改ざん等、欺瞞を続けてきたことを随所で認めている。しかしながら、撤退・退避の許可要請はなかった、という東電側主張だけは、東電主張を無条件に認め、菅を全否定している。一時的にせよ退避を許可していたならば、マニュアルで注水されていた炉は空焚きとなり原発構内はロボットでしか入れない線量に達していたろう。現在(2012年7月)の冷却水循環システムの構築はありえず、首都圏まで警戒区域となるという近藤駿介氏の「最悪のシナリオ」が現実化していた可能性が高い。である以上、退避を阻止したのが菅であるとすれば、菅は救国の英雄となってしまう。それは自民党としては全否定しなければならない。そうした自民党の要望を100%以上満足しているのが「国会事故調査委員会報告書」であった。
日本の存亡如何という非常事態下でありながら、「内閣不信任案」を提出して復興を停滞させた国会とは、どういう組織であるのか。この点に「国会事故調査委員会報告書」は言及していない。

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「国会原発事故調査委員会」立法府からの挑戦状 (東京プレスクラブ新書 1) 新書 – 2011/12/20
塩崎 恭久
(著)
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これは憲政史上初めて、国会が政府に叩きつけた挑戦状だ! 戦後、憲法上「国会は国権の最高機関」と位置付けられながらも、 実際の政治は政府・官僚主導で政治が行なわれてきた。 しかし、人類史上最悪とも言える福島原発事故を前に、 国会がこれ以上沈黙し続けるわけにはいかない。 そこで国会に憲政史上初めて、民間の専門家による原発事故調査委員会を 設置するという、新しい民主主義の試みがスタートした。 「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法」成立までの 困難な道のりをドキュメントで完全収録!
- 本の長さ200ページ
- 出版社出版共同流通株式会社
- 発売日2011/12/20
- 寸法10.7 x 1.6 x 17.4 cm
- ISBN-104905156033
- ISBN-13978-4905156031
登録情報
- 出版社 : 出版共同流通株式会社 (2011/12/20)
- 発売日 : 2011/12/20
- 新書 : 200ページ
- ISBN-10 : 4905156033
- ISBN-13 : 978-4905156031
- 寸法 : 10.7 x 1.6 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,288,231位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- 2012年2月1日に日本でレビュー済みAmazonで購入書店では表紙だけ見て国会議員の自己主張本と思ってしまいました。しかし手に取ってみるとケメニー委員会(スリーマイル島原発事故)ほかの事例も掲載されており民間の第三者調査機関を国会(立法府)で招集、設立までの経緯が事細かに書かれています。
行政改革を遂行にあたり役人を批判するのではなく国民と国会がいかにして今後の日本を立ち上げ直すか?の手法が著されているように思います。
この本は原発事故のお話ではなくどのようにして原発事故を乗り切るか、未来への証言を残すかということが主題です。
超党派で一発決めるところなんかちょっと国会を見直しました。
- 2012年1月4日に日本でレビュー済み平成23年12月25日に発行されたものです。
国会に、国会自らが、国会原発事故調査委員会を設置し、原発事故の原因等の調査を行う機関を設置しましたが、設置までのドキュメンタリーが書かれた書籍です。
それ自体は、憲法上の問題も含んでおり法律上は興味深いですが、原発事故それ自体についてはほとんど触れられておらず、むしろ、そのことを知りたい者からすれば、期待はずれの書籍となっています。
設置までのドキュメンタリーについて知りたい方であれば良書だと思います。
なお、国会原発事故調査委員会の委員名簿も掲げられており、10人中、医学関係が2名、地震学者が1名、法曹2名、化学者が1名、その他4名ですが、福島県大熊町商工会会長の方が委員になられているのは特筆すべきことかなと感じました。
- 2013年11月26日に日本でレビュー済みAmazonで購入立法府を主体として検証機関を作ることの意義がわかった。
経緯がわかりやすく書いてあるので読みやすい。
- 2016年8月16日に日本でレビュー済み「日本は大切なものを失っていた」「国際的な信頼」。国会法の一部を改正、東京電力原子力発電所事故調査委員会法。事故調査委員会を受けて、国会で何ができるかの検討の現状を確認中。
- 2013年9月16日に日本でレビュー済み汚染水問題など、なかなか収束の道筋の見えない福島第一原発事故であるが、本書は国会に事故原因究明のための調査委員会を設置するまでの経緯を、その委員会設置をリードした自由民主党の衆議院議員である塩崎恭久氏が語っているものである。
事故の後、当時の民主党の菅政権は有識者からなる調査委員会を政府部内に立ち上げた。これに対し塩崎氏は、原子力を推進しつつ規制もしてきた政府(過去においては自民党も政府を支えてきたのではあるが)に任せていては原因究明に限界があり、国会でも別途に調査委員会を設け、原因究明にあたるべきと考えたという。国会独自で原因究明することによってのみ、政府部内の委員会では指摘しえない事項も指摘できるとの考えでもある。
国会の国政調査権を、国会に設けられるが国会議員を構成員にしない委員会に行使させることができるのか、といった憲法上も興味ある論点も提示される。行政と国会との関係に大きな波紋を投げかける新しい仕組みの創設であり、多くの困難を乗り越えた苦労話が記されている。日本のガバナンスの歴史に記されるべき新しい仕組みに挑戦した当事者の記録として貴重な資料といえよう。
紆余曲折を経て全会一致で委員会の設置が決定されるが、日本共産党を含む議員が最終的には賛同する展開は、我が国の国会の良識を示すものであろう。また、その国際的な感覚から国会としての姿勢を世界に示すべきとの塩崎氏の主張の妥当性が、関係者の賛同を最終的には得たものといえよう。
失われた10年、あるいは20年といわれる我が国であるが、未曾有の危機を経験した後ではあるとはいえ、このような仕組みを生み出せる、ある意味で成熟した国会をもてたという意味では、着実に我が国社会は進歩しているといえる。(ただし、未成熟な前政権を生み出したという点では、反省する必要が大きい。)
本書は、我が国の政治や行政の仕組みに関心のある読者には、興味深い読み物となっていると考える。
この国会の調査委員会は「規制の虜」という表現を含む報告書をとりまとめ、多くの提言を残し既に解散している(設置後6か月以内の報告書の提出、その後の活動停止があらかじめ
決められていた)。
塩崎氏には、この委員会の報告書を得て、行政が、国会が、そして日本がどう変わったのかの続編も期待したい。
ただし、それほど変わってないとすれば、それは塩崎氏も含めた国会議員の責任でもあろうし、そのような国会議員を選んだ有権者の責任ということになるのであろう。
- 2012年8月14日に日本でレビュー済み法律の誕生過程、国会の裏側がよく分かりました。脱原発を期待して読むと、それとは全然関係ない内容なので要注意。国会の仕組みを勉強する中高生や、大学以上の法学部生等が読んでも勉強になる。法律はこうやってできる、という裏の過程も汚い過程もよく分かる。一人で果敢に取り組んだ塩崎議員さんに敬意を表したい。
- 2011年12月23日に日本でレビュー済み単に国会に事故調を立ち上げたという自画自賛の著作という理解ではいけないと思った。わが国の信頼回復に向けて、氏が憲政史上初の取組みに挑戦していく過程を克明に記している著作である。民自公はもちろんだが共産党まで含めた与野党の垣根を越え、国難の克服に向けて立法府の機能強化に対して本質論で挑戦する氏の姿は、政治家のあるべき姿を彷彿させる。与党内、もしくは与野党間での薄っぺらい政局が繰り返される現状に辟易いる私たちにとって、元気を与えてくれる一冊と思う。