ある偉大な努力の結晶
商品番号 | tk012502 |
商品名 | 美女徳利 |
価格 | 美女徳利: ¥8,600(税込) |
限定数 | 美女徳利:100個 |
サイズ | 美女徳利: W87×D80×H130(mm) |
素材 | 磁器 |
支払方法 | 先払い |
送料 | |
納期 | 約1ヶ月 |
備考 | この商品は返品不可とさせていただきます。 |
バイヤー | mikayama |
とても分かりやすい、というかバカな発端
あるときこの作品を作ったSATO CERAMICWAREの冬樹さんは陶磁の巨匠の方にお話を伺いに行った際に飲んだ勢いで徳利についての話になりました。
「どうして徳利や茶器がこんなに人の心を魅了するか分かるか?実はな、あの曲線は女性の体なんだよ。一番美しいものなんだよ。」
明らかにおっさんの飲んだくれトークなのですが・・・
冬樹さんは「コーラの瓶は女性を模したものである」という話をとっさに頭に思い浮かべながら考えたらしいんです。じゃ、本当に女性の形をした徳利を作ればいいじゃん。
いや、普通こんなに頭は素直じゃないものなのですが。。
なんかものすごい分かりやすい理由で、多分前人未到のリアルな女性の形をした徳利作りにチャレンジすることになったんです。
一合美女徳利:¥12,900(税込)
一合美女一輪:¥12,900(税込)
美女徳利(上)と美女一輪(下):各 ¥8,600(税込)
牛乳マン(上)と木彫りの熊(下)
徳利の作り方
この磁器製の徳利の石膏型は「分割型の一体成型」でできています。
型物の磁器の詳しい作り方は以前紹介した飛松さんのページをご覧になっていただきたいのですが、簡単に言うと石膏の枠を作り、そこに泥しょうを流し込み、石膏に吸水されたときにできる皮膜層を抜き出し乾燥させ焼き上げる、というものです。
つまり、普通はプッチンプリンのような構造になっていてそこから抜き出す、ということが簡単にできるものなんです。だけど、この徳利はちょっと想像すると分かると思うのですが抜き出す場所がありません。。
なので、まず原型から石膏型を作るときに、その石膏型を分割して取り外せるように作っておき、出来上がった石膏パーツを再度組み直して泥しょうを流し込み成型していく、という流れになります。
ただ、ここに冬樹さんのこだわりがもう1点ありまして。上にも書いたとおり、この作品は一体成型なんです。つまり継ぎ目が一切ない。
通常こういう複雑な形を抜こうとするとき、頭部や手足の部分でうまく型を抜くために必要な勾配(抜け勾配)を確保するのが難しいため、別々に作っておき後でくっつける、という手法を使うのですが、それをどうしても冬樹さんが妥協に思えて許せなかったらしく。。信じられないことにこれらの作品は完全な一体成型になっているんです。(つまりパズルのような型の集合体からパカパカ外していくと、そのままこれらの作品が現れます!)
なんとなく、お祭りの型抜きを想像してください。例えば団子の串の部分とか細い部分で割れちゃったことありますよね?くっつけられれば楽なのに!って思ったことも。
そういうずるをせず、お祭りの型抜きのような壊れやすい素材を使い、口伝えに教えられるようなこうやって抜くんだ、ということを誰にも教えられず(誰もやっていないからしょうがないんですけど。。)何度も何度も石膏型を作って、分割して、泥しょう流し込んで、取り出すときに苦戦して、少し分割の仕方を変えてみて。ということを繰り返して、やっとできた徳利なんです。
(2011.2.13下記加筆)
新商品ができました!
一合美女徳利です。今までの美女徳利はどうしてもサイズが小さく一合もお酒が入らないことを佐藤さんはなぜか問題視していまして。(密買東京では花器としておすすめしていたので、そこはそんなに問題ないのですが、、、)内容量がしっかり入るようサイズがずいぶんと大きくなりました。
また、今回は「分割線のデザイン」というのがテーマになっています。そもそも論、わざわざ一体成型でやっていることもあって、成型した後にしっかり削ってツルツルにしてしまうのが、なんかいやだなと佐藤さんは思っていたそうで。それならバリの部分が残っても不自然にならないように型の分割線の位置をコントロールする、デザインするということにチャレンジした一作目となっています。
ただですね。
ここからどんどん変な方向に向かっていくのですが、、、
要はバリが残るということは、線が作品に残るという意味なんですね。ただ、これ基本的に裸の女性の形をした徳利じゃないですか。服とか着ているわけではないから、線が出てくる部分がない。。ということで、今回の分割線は下着のラインに沿っています。女性の体に残った下着の跡ということです。
もうなんかやっていることはすごいのに、明らかにエロい方向にいってしまうのが歯がゆいのですが、まあ実際そうなのでしょうがないです。はい。
現在は型自体が新しいこともあって、バリがあまり出ないので跡もあまり出ませんが、これから何体も抜いていくにつれ、型自体が段々と劣化してラインが出てくるようになると思います。そのときはその状態を楽しんでいただければ。
あと、「牛乳マン」も追加しました!
これは佐藤さんが原型もオリジナルで磁器で作った最初の作品です。最近リバイバルで作ったそうなので少量生産ですが皆さんにお分けできればと思います。
本当に10年前ぐらいに作った作品なので、技術がなかったこともあり一体成型ではなく分割で成型してくっつけた牛乳マンです。なぜかメタボ体型です。牛だからなのですが。まあ徳利にも花器にもなりませんが、かわいがってあげていただけると幸いです。
こんな状態から取り出していきます
なんかこの作業自体が一つの作品みたいです
動画も用意してみました。
ロダン
これ全部冬樹さんの受け売りなんですけど。
ロダンの「考える人」ってあるじゃないですか?
あれ、当たり前なのですが型物なんですね。鋳造されてできている。だから世界に何点もある。でも、別に世界に何点もあるからと言って、それが美しいものではない、ステキなものではない、ということは一切なくて。
しかも、型物だからといって全てが完全に一緒かというと、そういうわけでもないらしく。どうしても型自体が劣化していったり、窯で焼成するときに多少ですがゆがみが生じたり、同じ型から生み出される作品もそれぞれ本当に少しずつですが実は違う。決してファーストが一番良いわけでもなく、何番目かの方が意外に良かったみたいなこともあり。
ウォーホールのポップアートほど割り切れていないけど、とはいえ世界に1点しかないということを良しとするアートとも違う。いろいろな人に手渡って楽しんでもらえるなら、それはそれでいいじゃない。みたいな感じ。
なんかすごく共感するんですよね。
そういう意味で、もちろんこの作品にも。
美女徳利と美女一輪のパーツはそれぞれ11個と13個
一合美女徳利は過去最大19個!
熊も意外に多くて9個
本当にパズルみたいです
冬樹さん
ある男の女性の形をした徳利に対する偉大な熱量、それに伴う切ない努力。
ちょっとは伝わりましたでしょうか?
ちなみに冒頭で紹介している熊の花瓶は、この徳利を作る際の習作だったりします。もちろんえらいかわいい感じなので販売させていただくのですが。メインはやはりこの徳利なんですね。
ともすれば、ある限られた人の嗜好品としかなりえないデザインでありつつも、なんとかそれを自分のフィールドに落としこみ、一般化しようと努力した結晶です。(だけど、結果できていない感じがまたステキなんですけど。)
あ。便宜上、熊の花瓶と美女の徳利という言葉を使っていますが、むしろどちらも花瓶として使った方がステキだったりします。発端はもちろん徳利ではあるのですが。
あと、冬樹さん。
ホームページとか持たないアナログな方なのですが、ものすごいかっこいい器も作っていたりします。もう、この作品とは完全に対極にあるような。その作品もいつか紹介できればいいな、と思います。そうすれば、多分この人の印象がまた変わると思うんですけど。
でも、たくさん説明したので今日はこの辺で。
美女徳利(左)と一合美女徳利(右)を比較すると
取り出し立ての時の方が分かりやすい下着のライン
意外に生活風景に馴染みます
そんな冬樹さん