農業環境技術研究所 > 刊行物 > 研究成果情報 > 平成21年度 (第26集)

普及に移しうる成果 6

主要穀類および農耕地土壌の人工放射性核種(90Sr、137Cs) 分析データのインターネット上への公開

[要約]
日本各地に設けた放射能の定点調査ほ場で栽培された米・麦とその栽培土壌におけるス トロンチウム90(90Sr)とセシウム137(137Cs)の濃度についてデータベースを作成し、 1959年以降の分析値の経年変化をインターネット上に公開しました。
[背景と目的]
我が国の過去から現在にわたる作物や環境中の放射能濃度レベルを知っておくことは、食品に対する安心感の根拠となり、不測の事態における無用な混乱の防止にも役立ちます。農業環境技術研究所では、原水爆実験や原子炉事故等によって環境に放出された放射性物質が作物や土壌に蓄積・残存する状況および土壌から作物に移行する程度を明らかにするため、1950年代から全国規模で人工放射性核種(90Sr、137Cs)のモニタリング調査を行ってきました。これらの情報をインターネットを通じて広く国民へ提供することを目的とします。
[成果の内容]
農業環境技術研究所では、1950年代より毎年、全国十数か所の農業試験研究機関で栽培された米および小麦とその栽培土壌について、90Srと137Csの濃度を分析しています。調査データのうち、下記の項目について表計算ソフトに入力しました。
  • 白米、玄米、玄麦および小麦粉中の90Sr、137Cs濃度(1959〜2006年):単位mBq/kg
  • 水田作土および畑作土中の全90Srと置換態90Sr並びに全137Csと置換態137Cs濃度(1959〜2006年):単位Bq/kg
  • 採取地点の土壌群名と作土の土性
 整理した表データは、パッケージソフトウェア"V/GAI-AGRIP(ヴィジブルインフォメーションセンター社)"を用いてデータベース化しました。これらは、2009年12月からInternet Explorer(Microsoft社)やMozilla Firefox(Mozilla Foundation)などの標準的なWebプラウザを使用して、https://vgai.dc.affrc.go.jp/vgai-agripで、閲覧が可能となっています(図1)。一般公開したシステムは表1に示す特徴を持っています
本研究は文部科学省放射能調査研究費による成果です。
リサーチプロジェクト名:化学分析・モニタリングリサーチプロジェクト
研究担当者:土壌環境研究領域 木方展治、井上恒久
発表論文等:1)駒村ら、農業環境技術研究所報告、24: 1-21 (2006)
2)Komamura et al.、農業環境技術研究所資料、28: 1-56 (2005)

図表

図表


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