iPadで自分史制作、価格3分の1に 浜松のマエダ印刷
自費出版を手掛けるマエダ印刷(浜松市、前田浩社長)は、米アップルのタブレット端末「iPad(アイパッド)」で自分史を手軽に制作できるサービスを始める。専用アプリをインストールすれば、原稿執筆から写真撮影、同社へのデータ送信までiPad1台で完結する。料金は3冊5万2500円と、従来の製本サービスの3分の1に抑え、シニア層の需要を喚起する。
アプリ「和ん(なごみん)」は、ソフトウエア開発のCAIメディア(浜松市、福地三則社長)と企画した。今月中旬から無料で提供する。マエダ印刷の自分史の基本プランは全体が150ページで、文章が20ページ、写真アルバム12ページ、残りは歴史年表などを掲載する。
普段、文章を書き慣れていない人でも、アプリの例文を編集するだけで執筆できるように工夫した。iPadの画面で「下書き」を選択すると、「子供時代」「就職」「結婚」など人生の節目に合わせた例文が表示される。それらの項目に手を加えて、自分史を完成させる。
iPadのカメラで友人や家族、思い出の場所などを撮影して自分史に掲載できる。4千種類の家紋の画像データも内蔵しており、表紙などに使える。
マエダ印刷によると、紙の本の自費出版は一般的に100冊以上の注文が必要で、費用も数百万円かかる。同社は独自の製本技術でコストを削減した。手書きの原稿を同社に送って製本する従来の方法に比べて3分の1に抑えた。
1冊8400円で追加注文もできる。シニア層のほか、子供や孫からの贈り物需要も開拓する。既存サービスと合わせて年1千件程度の受注を目指す。
同社はカタログやチラシを中心に手掛けてきたが、経済の低迷から受注環境が厳しくなっている。最近は自分史を中心とする自費出版に力を入れている。