本格カメラアプリを比較してみた2011年度改訂版
もう一年近く前になりますか。
二つのアプリをバカみたいに繰り返し立ち上げて、色々な機能を比較したり何度も使い方を試したりして、結果として3本くらいの無駄に長い記事に仕上がりました。
本格カメラアプリを比較してみた【機能編】 - Digital-Penguin workbench
今僕がメインで使用している撮影アプリは、以前紹介した「プロカメラ」です。 露出とピントを別々に合わせる事の出来るこのアプリがとても気に入っています。 ...
めんどくさがりの僕としてはもうあんなことやりたくないのですが、おかげさまで我が零細blogで、細々ながら一番読んでいただいた記事になったみたいです。
いや、特にアクセス分析もしてないから勘ですが。多分、多分ね!
いまでもたまーに紹介ツイートなんか流れてたりして大変うれしいことなんですが、あの記事は当時のものなので、やっぱり今とは違うんですよね。細かいけど。というわけで、プロカメラ、CAMERA+機能比較改訂版です。同じ事を書いても仕方ないので、基本的な比較については前の記事を読んで頂くという事で、本文は「1年でどうなったのか」をメインにしたいと思います。
※価格は情報取得時点のものです。ご購入前にその時点の価格を確認願います。
プロカメラ 3.0.1
iPhone、iPod touch および iPad 互換 iOS 4.0 以降が必要
価格: ¥350
更新: 2011/02/11
(2013.10.06追記)プロカメラは現在公開されておりません。「ProCamera 7」に移行しています。
※価格は情報取得時点のものです。ご購入前にその時点の価格を確認願います。
ProCamera 7 5.0 (¥85)
カテゴリ: 写真/ビデオ
販売元: Cocologics(サイズ: 30.2 MB)
※価格は情報取得時点のものです。ご購入前にその時点の価格を確認願います。
Camera+ 4.2 (¥170)
カテゴリ: 写真/ビデオ
販売元: tap tap tap(サイズ: 26.5 MB)
高機能カメラアプリはあの頃より増えたのだから比較対象を増やせって意見もあるかと思うのですが、これ以上めんどくさくなるのは嫌だ僕の知る限りまだこの二つに総合的なレベルで追いついているアプリは存在しないと思っています。TopCameraなんかは惜しいですけどね。
でも僕の知らないすごいアプリもあると思うので誰か教えてください。記事にはしないかもしれないけど一人で楽しく使います。
撮影に関する機能を比較
前回同様、撮影機能、表示機能、編集機能の順で。まずは撮影。
撮影機能 | プロカメラ | Camera+ |
---|---|---|
比較バージョン | 3.5.1 | 2.4VS |
マルチタスク | 対応 | 対応 |
Retina iPhone4以降 | 対応 | 対応 |
フラッシュ iPhone4以降 | ON/OFF/Auto/常灯 | ON/OFF/Auto/常灯 |
インカメラ iPhone4以降 | 切替ボタンあり | 切替ボタンあり |
ピント/露光 | 上級者モード時のみ | 2本指でタップ またはフォーカスボックスの右上「+」ボタンタップ |
ホワイトバランスロック | 上級者モード時のみ | ピント/露光別操作中 |
手ブレ防止 | 有り(スライダで程度を指定) | 有り |
セルフタイマ | 0.5s、1s〜20s | 5s、15s、30s |
ズーム操作 | ピンチイン/アウト 上記操作中に表示されたスライドバーでの操作も可能 | スライドバー操作 |
ズーム倍率 | 最大6.0倍 | 最大6.0倍 |
ズーム解像度 | フル解像度ON/OFF可 | フル解像度のみ |
ジオタグ | 有り(アプリ内ON/OFF可) 撮影時方角保存 | 有り(アプリ内ON/OFF可) |
水平キャリブレーション | 有り | なし |
全画面シャッター | 有り | なし |
ボリュームトリガ | 有り | 有り |
グリッド表示 | 3種類から選択可能 | 9分割のみ |
撮影時保存 | 自動保存(カメラロール)指定可 | アプリ内(LightBox)、カメラロール指定可 |
保存サイズ | 使用iPhoneの最大サイズで保存 | 使用iPhoneの最大サイズか、シェア機能に最適化を選択 |
日付スタンプ | 有り | なし |
ビデオモード | 有り | なし |
QRコードリーダ | 有り | なし |
連射モード | 高画質モードと高速モード | 有り |
操作の効果音 (シャッター音ではない) | ON/OFF設定可 | ON/OFF設定可 |
もともとプロカメラの撮影機能へのこだわりは変態(褒め言葉)だと思っていたのですが、この1年で他の追随許すまじと言う執念を感じるレベルの更なる進化を遂げていました。ここまで来ると中の人の精神状態とかが心配になってくるほどですが、なんかもう色々凄いです。
特に予想外だったのはQRコードリーダ機能が付加された事。方向性としては斜め上過ぎます。厳密には撮影機能じゃないですけどね。
これによってモード切替ボタンが「写真/ビデオ/QRコード」の3機能になりました。
「QRコード機能いらねぇ」という僕のような人のために、ボタンワンタップで写真とビデオが切り替えられる設定(設定画面の上級者モード内で変更可能)もあるので、不要な機能が増えたせいでUIが不便になったと云う事もありません。この辺りの配慮は素晴らしい。
あと、プロカメラにしかビデオモードがないので比較リストに入れてませんが、ビデオモードでもフル解像度でのレンダリングや撮影中の連続フォーカスなど、ビデオ機能も手を抜かないというこだわりを感じます。
一方でCamera+については、昨年の記事の直後のバージョンアップでフォーカスと露出ボックスの操作性が改善されましたが、それ以外に目立った変化はありません(性能的なチューニングなどはされているかもしれませんが)。
当初フォーカスと露出を別々にするには2本指が必要(荷物を片手に持ったまま撮影したいときに操作出来ない)だったのが、プロカメラ同様にホールドしている手の親指だけでの操作が可能になりました。こういうユーザの「ちょっとした不満」に対する敏感さはこのアプリの真骨頂です。
あと、流石というかそれぞれiOS5で標準カメラに搭載されたボリュームボタンでのシャッターはしっかり対応してきましたね。…と、言いたいのですがプロカメラは撮影出来るものの音量の方も変わってしまうのが残念。Camera+はiOS5より1年以上前に実装して却下された機能の(多分ちょっと納得いかないものがあるであろう)リベンジってことになりますね。
apptoi: Camera+、ボリュームボタンをシャッターにできる新バージョンはリジェクトされる
taptaptapは、ボリュームボタンをシャッター代わりに利用するVolumeSnapという機能を追加したCamara+の新バージョンがリジェクトされたと伝えている。 「ボリュームボタンの標準的な使用 ...
連続撮影を比較する
プロカメラに「RapidFireモード」が搭載され、シャッターボタン押しっぱなしでの連続撮影が可能になりました。Camera+にはもともと「Burstモード」がありましたので、ちょっと詳しく比較してみようと思います。
プロカメラの場合、RapidFireモードの使用有無は設定画面上で切り替えます。この設定をしておく事で、通常の撮影中にシャッター長押しすればいつでも連続撮影が始まります。長押しによるモード切替判定のため、1枚目と2枚目の間だけ一瞬間が空きます(連続撮影に切り替わるとシャッターボタンの中央が赤く光ります)。
更に、設定画面ではHighSpeedモードにするかどうかを選択出来ます。HighSpeedがオフならフル解像度撮影なので保存のオーバーヘッド分連続撮影のインターバルが長くなります。HighSpeedモードでは640×480での保存になります。
Camera+は設定ではなくモード切替ボタンで「Burst」を選びます。
このため長押し判定不要なので、押し始めた瞬間から連続撮影が始まります。押しっぱなしにしている間だけ撮影を続けるのはプロカメラと同じ。但し、一度アプリがバックグラウンドに回るとBurstモードは解除されて通常撮影モードに戻ります(スタビライザやタイマも同じ)。それを理解していないとBurstモードのつもりで長押ししても撮影が始まらない、なんてことに。
Burstモードは低解像度(640×480)保存のみのようです。こういうところにあまり選択肢を設けない辺りに、Camera+の設計思想が感じられます。
じゃあ同じ解像度での保存なら、プロカメラのHighSpeedモードとCamera+ではどちらが速いの?てことで検証してみました。あくまで僕のiPhone4Sでの結果ですが、以下のような検証方法で比較してみました。
- Macの画面上に日付と時刻の設定画面を開いて、時刻表示にフォーカスをあわせる
- xx時xx分00秒になった瞬間に撮影開始
- xx時xx分05秒になった瞬間に指を離す
- 上記の操作での撮影枚数を比較
- だけでは操作の誤差が出るので、01〜04秒が写ってる写真がそれぞれ何枚あるか比較
- 参考記録として00秒と05秒も載せますね
連続撮影 | プロカメラ | Camera+ |
---|---|---|
総枚数 | 32枚 | 24枚 |
00秒 | 4枚 | 4枚 |
01秒 | 7枚 | 4枚 |
02秒 | 6枚 | 5枚 |
03秒 | 6枚 | 5枚 |
04秒 | 7枚 | 5枚 |
05秒 | 2枚 | 1枚 |
というわけで、見ての通りプロカメラの方が圧倒的に速かったです。サンプリングが少ないので参考程度ですが、毎秒6.5枚。Camera+は4.75枚ですから、たまたまというには大きな差です。ちなみに00秒だけ互角なのは僕の操作の誤差もあるでしょうが、やはり長押し判定されるまでの間じゃないかなぁと。
ちなみに以前検証しましたが、起動速度なんかはCamera+のほうが圧倒的なんですよね。カメラとしての性能を徹底するプロカメラと、ユーザの快適さを追求するCamera+。こういうところでもアプリの性格の差が見えるような気がします。
3秒間だけ僕らは - Digital-Penguin workbench
で、こういうものが公式機能で出てくると意味が無くなっちゃうのかもしれないけど、とりあえず現時点でカメラアプリの起動速度ってどのくらい違うのよ?ってのは前から気になっていました。 なので僕の撮影用メイ ...
表示機能を比較
表示機能 | プロカメラ | Camera+ |
---|---|---|
比較バージョン | 3.5.1 | 2.4VS |
アプリ内保存 | なし | LightBox |
写真の表示 | iPhoneのライブラリ 右フリックでのライブラリアクセス | LightBox、iPhoneのライブラリ |
Exif情報 | 詳細な情報を表示 | 簡易表示 |
Exif情報(ジオタグ) | マップ、航空写真(方角情報も表示可) | マップ |
外部送信(シェア) | Facebook、Twitter、Flickr、Dropbox、メール | Facebook、Twitter、Flickr、SMS、メール |
SNSシェア時のジオタグ | 設定で有無を指定 | 送信時に有無を指定 |
ここでまず目につくのもやはり、プロカメラの進化。
iOS5のリリースに先んじて独自に右フリックでのアルバムアクセスを取り入れている辺りはさすがです。加えて、以前はメール送信のみだったシェア機能もSNS対応してきました。それもCamera+よりひとつだけ対応サービスが多い辺りにささやかな対抗意識が見えたりして微笑ましいですね。
で、着目したいのはSNSシェアをするときのジオタグの扱い。
ジオタグは場面によっては重大なプライベート情報になり得ますから、それをどう扱うかは本人が意識して管理出来る事が望ましいですよね。プロカメラは共有設定(各サービスのログイン設定)を行う画面上で一括でジオタグを共有するかどうかを設定します。
Camera+は送信を行う段階でジオタグが含まれているか否かが分かり、それを含めたまま送信するかを都度選べるようです。個人的にはCamera+の方式のほうがケースバイケースで意識出来るので親切な気がしますが、「どんな場合でも位置情報は共有したくない(あるいはしたい)」人にはプロカメラのほうが楽かもですね。
ちなみにプロカメラは一括マルチポスト可能、Camera+はサービスをひとつ選んでからのシェア。
編集機能を比較
編集機能 | プロカメラ | Camera+ |
---|---|---|
比較バージョン | 3.5.1 | 2.4VS |
画質の編集 | 明度、コントラスト、ガンマ値、彩度など スライドバーで数値編集 | シーン別指定16種類 撮影条件、被写体などからオート補正 |
切り抜き | 自由サイズ、黄金比固定、正方形 2:3、3:4、9:16 | 自由サイズ、黄金比固定、正方形 2:3、3:4、4:6、5:7、8:10、9:16 |
回転 | 90°、水平、垂直 斜め(-24°〜24°、切り抜き連動) | 90°、水平、垂直 |
枠付け | なし | 18種類から指定可 |
特殊効果 | 36種類 | 36種類、ただしうち9種類はアドオン |
これについてはどちらもあまり変化がありません。
ただ、Camera+のシーン別自動編集機能の中で、「Clarity」という新パターンが追加されています。これが追加されたときのバージョンアップでは余程自身があったらしく、リリース情報内でかなりプッシュされていた記憶があります。実際、ビビットで引き締まった加工になるのでぐっとプロっぽいというかクールな印象になります。独自のアルゴリズムで、強いていえば疑似HDR加工って感じでしょうか。
石橋を叩いて壊すオトコ: 【iPhone4】Camera+のClarityはスゴイ
これはHDRと同じような効果です。iPhone4標準カメラアプリのHDRだと動いている被写体が2重に写ってしまうような事がありますが、Clarityは1枚の写真を加工するので、そういう事はありません。 ...
フォトレタッチアプリよろしく細かい調整を可能にしたプロカメラと、シーン別に「食べ物ならこれ、風景ならまずこれ試して」と一発加工を促すCamera+。意図的にしつこく繰り返していますが、準備された機能やUIそのものがアプリの開発者の意図を雄弁に物語っていますね。
Camera+のLightBoxはやはり秀逸ですね。連続撮影なんかだと大量の「捨て写真」が出来る場合もある訳ですが、LightBoxのおかげでカメラロールにいきなり入る事がないので、一番いい写真を選んで良い感じに加工した結果だけを書き出す事が出来ます。勿論そういうのが面倒な人のためにカメラロールへ直接保存可能なオプションもありますしね。
総評
1年前の記事のまとめで、こんなことを書きました。
Camera+は高機能ながらも、ユーザに出来るだけ煩わしい操作や、選択に悩むような手数を掛けさせない配慮が随所に為されています。
言ってみれば「iOSの機能をフル活用しつつ、コンデジのような手軽な撮影を」楽しめるユーザ体験を提供してくれるアプリではないかと。
一方プロカメラは、ある意味変態的なまでに、iPhoneのオート処理から逃れてユーザにマニュアル操作の余地を残そうとしてるように見えます。
「iOSの許す限り、iPhoneを一眼レフに近づけてしまおう」というのが究極の目標かも知れません。
こうしてみるとやはりこの分析は間違ってはいなかったなぁと感じます。
プロカメラは技術的に許す限りあらゆる機能を搭載して、それらを使うか否か、解像度はどうするか、という選択肢をユーザに向けて自分好みにセッティングしなさいと提示します。Camera+は同じような機能を搭載しながらもユーザが悩むような選択肢は極力与えない、ただし人が使うのだから速度や画面遷移の操作はとにかくストレスの少ない、心地よい操作感を。
1年前より確信を持って同じ事を書きますが、設計思想、思考パターンがまるで違うのです。どちらもとても素晴らしく、そして美しい。
これだけ似ていてこれだけ違う二つのアプリ。
さて、改めて。
「貴方はどちらを選びますか?」
※価格は情報取得時点のものです。ご購入前にその時点の価格を確認願います。
プロカメラ 3.0.1
iPhone、iPod touch および iPad 互換 iOS 4.0 以降が必要
価格: ¥350
更新: 2011/02/11
(2013.10.06追記)プロカメラは現在公開されておりません。「ProCamera 7」に移行しています。
※価格は情報取得時点のものです。ご購入前にその時点の価格を確認願います。
ProCamera 7 5.0 (¥85)
カテゴリ: 写真/ビデオ
販売元: Cocologics(サイズ: 30.2 MB)
※価格は情報取得時点のものです。ご購入前にその時点の価格を確認願います。
Camera+ 4.2 (¥170)
カテゴリ: 写真/ビデオ
販売元: tap tap tap(サイズ: 26.5 MB)