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マヤ暦の終焉と「行き詰るマネタリーシステム」

年初の挨拶を明るく振る舞いたいところだが、昨年の震災後、被災者の避難所生活は続いている。辛い年越しとなった人達は依然として多いのが現状で、不遇に見舞われた人たちに対して、弔いの気持ちを少しでも持つ事ができれば、と思う。


という事で、市場の話題。 以下、ロイターから。


2012年の世界は今年以上に「大荒れ」か、欧州と中東に火種


2012年は米国とロシアとフランスで大統領選が行われ、中国ではポスト胡錦濤体制が始動する。欧州はソブリン危機の不透明感が晴れず、民主化の波を受けた中東は政治的動揺が続き、経済の悪化は世界各地でデモなどの混乱を引き起こす可能性がある。足元では、ユーロをめぐる不安が根強く、核開発を続けるイランをイスラエルが軍事攻撃するとの懸念も残ったままだ。(ロイター)

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今年は荒れる。特に、楽観的なシナリオは通用しないだろう。年初に、金融商品を売る事を本業とした「証券関係者」の気前の良い予測を信じてしまった無防備な人は、どこかで「ハシゴを外された」と怒り狂うかも知れない。

「前向き」という言葉で装った楽観気分に浸るよりは、現実的になる方が遥かに賢明だ。今年も、昨年の「事実売り」という教訓を忘れてはならない。


目先、市場を動かす大きな材料といえば、アメリカ議会における社会保障税減税(延長協議)だが、これ、みなさんご存知の通り2ヵ月の暫定延長が昨年決まっているので、当初目指していた1年間延長を達成するならば、残り10ヵ月の延長が協議される事になる。

しかしながら問題は財源。どうやって確保するか。欧州の財源問題にしても結局昨年は解決しなかった。欧米、そして日本と、財源が限られる中で政治はこう着し、中銀に全てが委ねられる状況が続いている。


「永遠の経済成長」を求め先進国中銀が利下げを続けた結果、利下げ余地はなくなり、必要としている場所へお金が行き届かなくなった。(先進諸国)政府による財政政策が機能しない中、中銀による金融政策も機能しない。なぜなら財政と金融の政策は「水魚の交わり」であり、政策融合して初めて相乗効果が生まれる。いわゆるポリシーミックス効果だ。


信用バブル崩壊後の世界的金融規制強化によって、銀行の財布の紐は固くなり、今後も段階的に規制は強化されていく。中銀の緩和政策と、それを相殺するような規制強化が歩調を合わせる中で、貧富の格差は益々拡大していくばかり。財源が途絶える中、現行のマネタリーシステムは機能しないのが現状だといえる。




終焉を迎えるマヤ長期暦


そういえば、昨年末には冒頭のロイター記事内にある「マヤ文明」(長期暦終焉)の記事を至るところで見掛けた。既に多くの人が知っている、と思われる話で恐縮だが、「天文学や数学に精通していたというマヤ人は、天体の動きを正確に観測していた、それに基づく正確な暦を持っていた」という定説がある。


そのマヤ人は、2万5640年を(1つの)歴史サイクルとして捉え、それを5128年の5均等に分けていた、という事になっている(スタートは紀元前3113年らしい)。 そして2012年が5つ目のサイクルの終焉年、すなわち、マヤの長期暦が終わるのが今年だというわけだ。月日でいえば12月22-23日らしい。


その日を「ネガティブな日」として捉える諸説を沢山目にするが、その中には「食糧危機や大地震、火山噴火」といったものがある。現存するマヤ長老はこれら諸説を否定しているが、近年起こっている事を連想させるだけにこの話題も取り上げられ易いのだろう、確かに現在の地球環境と重なる部分がある。




限界のマネタリーシステム


前述の「貧富の格差」の話にしても、上記「食糧危機」の話にしても、自分には現行マネタリーシステムの限界を象徴しているように思える。 景気が悪ければ、(中銀による)緩和期待に振れやすいのは確かだが、現実問題として、経済を低迷させているのは「お金の量(不足)」の問題ではない。


近年には、経済を救うべく先進国による(その)量的緩和が発動された。その結果は食糧価格やエネルギー価格の高騰であり、長期失業者をより一層拡大させる事になった。お金が正しく配分されない結果、「貧富の格差」と「現代の食糧危機」を生み出した。 昨年の中東デモなんかは良い例で、(先進諸国)緩和政策による犠牲だと言える。先進国の量的緩和によって、食糧は「投機対象としての金融商品」へと変貌を遂げたわけだ。


経済を救うはずだった「マネタリーシステム」は、皮肉な事に雇用危機と食糧危機を助長した。今現在、世間一般的には緩和政策が待ち望まれているが、実情を知る当局者たちの熱は冷めているのが現状だ。 自分には、古代文明による1つの時代の終焉とマネタリーシステムの限界が重なっているように思える。時代が1つの節目を迎えようとしているのは間違い無いのではないか。