昨年12月14日に発足した行政改革調査会は、今年二つの新WT(ワーキングチーム)を加え、行革実行法案の作成を進めている。そこに盛り込まれる内容と進捗状況について、同調査会の階猛事務局長に開いた。(聞き手=空本誠喜広報副委員長)

法で行革の全体像を示す

空本 まずは行政改革調査会の位置づけと任務をお聞かせください。

階行革調査会事務局長

 私は決算行政監視部門の座長を務めていましたが、前原政調会長から「行政改革をしないと増税に国民の理解を得られない。党内に行政改革調査会を立ち上げるので事務局長として経験を生かしてほしい」とお話をいただき、当時の会長だった岡田克也氏と相談して、民主党政権として法律を作ることになりました。今まで閣議決定ベースや大臣の指示で五月雨式にいろいろな事をしてきましたが、全体像が見えない。そこを明確にする行政改革の法律を作るのが当調査会の任務です。

空本 マニフェスト09に書かれている政策課題は、どのように盛り込まれますか。

 まず総人件費2割削減については、法律の目玉として絶対に進めようと。庁費、委託費、施設費、補助金の合計55兆円強のうち6・1兆円を節約するとした件は、内訳の49兆円を占める補助金の部分が地域主権改革ともかかわるため、行革プロパーで実現するのは難しい。ただ、天下り独法・公益法人への支出見直しなどは、極力具体化して法律に取り入れる予定です。

空本 消費税率引き上げに当たり、党内で社会保障と税の一体改革の議論を行ってきました。1月6日には政府・与党社会保障改革本部で素案が決定しましたが、行政改革との関係は。

 社会保障と税の一体改革大綱には、「政治改革、行政改革への取組」として「独立行政法人改革、公益法人改革、特別会計改革、国有資産見直し等の行政構造改革に向けた取組を進め、民主党行政改革調査会で『行政構造改革実行法案(仮称)』の検討を進めていることを受け、国民新党と連携しつつ、所要の法案を早期に国会に提出し、成立を図る」とあります。一体改革を進める上でも、法案の早期提出が不可欠だと考えます。

 独法改革と特別会計改革については、1月に閣議決定で改革方針をまとめたので、後は今国会の法案提出に向けて粛々と作業を進める段階です。残る課題のうち、新たに手を付けるものについては慎重な検討も必要ですので、行政構造改革会議(仮称)という、昔で言う第二臨調のような場を設け、有識者の意見も取り入れていく予定です。

人件費2割削減目標を明記

空本広報副委員長

空本 WTごとの課題も多岐にわたり、取りまとめが難しいのでは。

 行政改革というのは簡単に大なたを振るえるものではなく、個別具体的な問題を一つずつ調べて案をまとめるので、膨大な労力と時間がかかります。官僚の力も借りないと細部に切り込めないが、ともすればそちらの意図する方向に流されるという懸念もある。大胆かつ緻密な改革を、いかに政治主導で進めるかに難しさがあると思います。

空本 総人件費2割削減についても、法案に数字を入れるか否かで相当な議論がありました。結果、政治側の強い意志で数字を入れた事は、大きな成果だと感じるのですが。

行政改革調査会のWTの位置づけ

 我々にとって「2割」は国会答弁で野田佳彦総理も言及している当たり前のこと。しかし、いざ法律を作る段階になると、役所から「それは無理です、法律に書くべきではない」と言われる。何とか目標に織り込めたのは良かったが、実行までにはさらに多くのハードルがあるでしょう。今ようやく成立に向けて動いている国家公務員給与の削減法案も、2年で7・8%削減という数字を通すのにこれだけ苦労したのですから。

空本 独法改革でも無駄遣いに関していろいろと精査をしていると思います。

 独立行政法人はこの度の再編で数を4割ほど減らしましたが、これはあまり本質的な問題ではなく、むしろ個々の法人のガバナンスを強化して、継続的に無駄を廃していくことが大事です。

空本 法案化の進捗と、法案成立後の調査会としてのフォローについてのお考えは。

 政府との折衝も大体片付き、法律の骨子は出来上がってきたので、これを条文化して、2月末から3月初めごろには行政改革調査会、政調役員会でご承認いただくという流れを考えています。

 法律となった後も本調査会がすべきことは多い。人件費削減もこれからですし、天下りの抜け穴に監視の目を緩めてはいけません。今回できなかった大きなテーマにも取り組めたらと思います。国会の中の無駄にも切り込む必要があると感じますし。

空本 行革への思いは。

 過去の行政改革はなかなか定着せず、一過性のもので終わっていました。われわれは行政の構造を変え、継続的に仕組みが変わって行くような改革を目指しています。

階議員と空本議員

(プレス民主3月9日号より)