藤田医科大学は新型コロナウイルス感染症の治療薬候補「アビガン」の観察研究の中間結果を日本感染症学会のホームページに公開した。結果報告では、「軽症者のほとんどが回復する一方、重症者の治療経過は思わしくないことが読み取れる」と考察。非投与群と直接比較できないこと、軽症で自然軽快する患者が大半を占めることを踏まえ、「慎重に結果を解釈することが必要」と指摘した。

 観察研究では5月15日時点で2158例が登録された。投与から7日目と14日目に軽快した比率は軽症例がそれぞれ73・8%、87・8%、中等症例が66・6%、84・5%、重症例は40・1%、60・3%だった。

 一方で7日目と14日目に増悪と判定された比率は軽症例でそれぞれ13・1%、5・9%、中等症例は21・3%、8・8%、重症例は28・3%、25・2%だった。

 死亡率は軽症例で5・1%、中等症例で12・7%、重症例で31・7%だった。副作用は尿酸値上昇や高尿酸血症、肝障害などが報告された。

 政府は研究の報告などを踏まえて当初目指していた5月中の承認を見送った。開発元の富士フイルム富山化学は実用化に向けて日米で治験を実施している。

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